2023年9月30日、当時25歳で宝塚歌劇団入団7年目の劇団員が亡くなった事件。
12月7日、遺族側代理人弁護士である川人博氏らによる記者会見が、厚労省記者クラブで開かれた。亡くなった劇団員に対する15のパワハラ行為を主張し、阪急阪神ホールディングスと宝塚歌劇団宛に12月5日付で意見書を提出したことを明らかにした。(全2回の1回目/続きを読む)
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従来から劇団側は劇団員へのいじめやパワハラを否定。村上浩爾新理事長は11月14日の会見で、遺族側に対し、「(パワハラの)証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」と発言していた。
今回、遺族側が提出した意見書では、3つの時期に分け、15のパワハラ行為があったことを、故人のLINEなどの証拠とともに示している。その一部を抜粋して紹介する。
(1)2021年8月14日以降
(2)2023年2月1日以降
(3)2023年8月16日以降9月29日まで
「看護師証言は虚偽証言」 新証拠を示して反論
まず、週刊文春が報じた所謂「ヘアアイロン事件」。2021年8月14日、上級生が故人の額に高温のヘアアイロンを押し当て、3センチ皮膚がめくれる火傷を負わせた事件だ。
当時、母親に宛てたLINEには〈やけどさされた〉〈ちゃいろになってる〉〈さいあく〉とメッセージが記されていた。さらに今回の会見で初めて明かされたのが〈わざとな気がする〉とのメッセージだった。
実際のLINE画像も劇団に提出された。一方、劇団側報告書では看護師の証言として「故人の火傷を見たが痕には残らない程度の火傷」と記載されていた。今回、遺族側弁護士は改めて、この看護師発言は「虚偽証言」であると反論した。
さらに今回の意見書では新たな証拠が示された。
1つ目が、故人と面識のある皮膚科の医師とのLINEだ。8月18日、故人が医師に次のようなLINEを送っている。
〈火傷してしまいあと残りそうで…お薬東京大劇場の楽屋に送って頂きたくて〉
2つ目が額に残った火傷の傷跡写真だ。東京公演終了後の9月26日のもので、黒く跡が残っていることが分かる。こうした経緯の詳細を、遺族は劇団側に詳しく説明したにも関わらず、調査報告書には採用されなかったという。川人弁護士は「どうして(医師ではない)看護師が火傷の程度を診断できるのか」と怒りを露わにした。