「週刊文春CINEMA」にこれまでご登場いただいた57名が選んだ、2023年公開作品の中のベストテンを発表! 57名の選者別ベストテンは「週刊文春CINEMA」2023冬号に掲載しています。
第5位『別れる決心』(70点)
「『僕/私のことを理解できるのはあの人しかいない』という恋愛映画に弱い。『別れる決心』はまさにそういう男女で刺さった」(真魚八重子)
『親切なクムジャさん』(05年)、『お嬢さん』(16年)など、ケレンとたくらみに満ちた作品で観客を驚嘆させてきたパク・チャヌク監督6年ぶりの作品は、かなり明確にメロドラマ。
殺人が疑われる転落事故の被害者の妻(中国人)と、それを捜査する刑事として出会った男女。言葉の壁を超えてどうしようもなく惹かれ合っていく2人。捜査は進み、事件は無事に解決した。…ように見えたが、むしろそこからがチャヌク監督の本番、2人の心理を繊細に描きながらサスペンスをぐいぐい高める。
「構成が新鮮で、要素も多くて、読み解きがいのある映像」(石井千湖)
「有名作品のオマージュに留まらない強靭なメロドラマ」(澤井健)
参照したという某ヒッチコック作品ともまた違う感触が最後に残る。
「週刊文春CINEMA」≪BEST CINEMA 2023≫
<選者57名>
アンジェリーナ1/3 石井千湖 石川慶 石山蓮華 宇垣美里 内山昴輝 冲方丁 海猫沢めろん 柄本佑 小川あん 尾崎世界観 尾崎将也 梶尾真治 春日太一 門脇麦 川原瑞丸 菊地成孔 キュウ 桐谷健太 小出祐介 鴻巣友季子 小西桜子 斎藤工 佐向大 猿渡由紀 澤井健 CDB 芝山幹郎 荘子it 曽我部恵一 染谷将太 瀧波ユカリ 滝本誠 玉城ティナ 筒井真理子 洞口依子 鳥飼茜 中江有里 中島歩 中野翠 浜野謙太 原田眞人 PUNPEE 樋口毅宏 ヒコロヒー プチ鹿島 町山智浩 松崎健夫 松本まりか 真魚八重子 マライ・メントライン 村上淳 森直人 山崎まどか 良原安美 リム・カーワイ 渡辺真起子(50音順)
<採点方法>
2022年12月から2023年11月までに公開された映画から10本の選出をお願いしました。その期間外の作品は採点していません。
[採点ルール]基本は「1位→10点」「2位→9点」…「10位→1点」という配点です。10作すべて順不同(順位なし)の場合は「10+9+8+…+1=55点」を10で割り、各作品「5.5点」ずつ。
[作品が少ないケース]例えば5位までしか挙がらなかった場合、「1位→10点」「2位→9点」…「5位→6点」としています。5作挙がって順不同だった場合、「10+9+…+6=40点」を5で割った「8点」を各作品につけています。
[それ以外のケース]8位までは順位があり、以下2作品が順不同、のような場合。8位までは順位通りに配点し、残り2作には「2+1=3点」を2で割った「1.5点」をつけています。