「週刊文春CINEMA」にこれまでご登場いただいた57名が選んだ、2023年公開作品の中のベストテンを発表! 57名の選者別ベストテンは「週刊文春CINEMA」2023冬号に掲載しています。 

第4位『フェイブルマンズ』(73点)

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 特撮を駆使したブロックバスター映画から人情味溢れる小品まで、驚異の演出力で数多の作品を撮り続けてきた巨匠スピルバーグによる、自伝的作品。

『地上最大のショウ』(52年)をきっかけに映画に取り憑かれた自身の幼少期から青年期までを、家族との関係を軸に描く。

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「『映画を作ることの業』を、自らが撮影したフィルムの中に発見してしまうくだり(略)あの瞬間はすごい映画体験だった」(小出祐介)

 とのコメントがあるように、「いやあ、映画って本当にいいもんですね!」という水野晴郎的楽観ではなく、むしろ人を決定的に傷つける可能性があるものとして映画を描いているのが印象的だ。

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 その苦さも含め、さすがの語り口で「映画についての映画」を見ることは大きな喜びであり、

「76歳スピルバーグは見事」(原田眞人)

「匠の演出」(澤井健)

 映画を映画たらしめる力量そのものに圧倒させられる作品である。

「週刊文春CINEMA」≪BEST CINEMA 2023≫

<選者57名>
アンジェリーナ1/3 石井千湖 石川慶 石山蓮華 宇垣美里 内山昴輝 冲方丁 海猫沢めろん 柄本佑 小川あん 尾崎世界観 尾崎将也 梶尾真治 春日太一 門脇麦 川原瑞丸 菊地成孔 キュウ 桐谷健太 小出祐介 鴻巣友季子 小西桜子 斎藤工 佐向大 猿渡由紀 澤井健 CDB 芝山幹郎 荘子it 曽我部恵一 染谷将太 瀧波ユカリ 滝本誠 玉城ティナ 筒井真理子 洞口依子 鳥飼茜 中江有里 中島歩 中野翠 浜野謙太 原田眞人 PUNPEE 樋口毅宏 ヒコロヒー プチ鹿島 町山智浩 松崎健夫 松本まりか 真魚八重子 マライ・メントライン 村上淳 森直人 山崎まどか 良原安美 リム・カーワイ 渡辺真起子(50音順)

<採点方法>
2022年12月から2023年11月までに公開された映画から10本の選出をお願いしました。その期間外の作品は採点していません。

[採点ルール]基本は「1位→10点」「2位→9点」…「10位→1点」という配点です。10作すべて順不同(順位なし)の場合は「10+9+8+…+1=55点」を10で割り、各作品「5.5点」ずつ。

[作品が少ないケース]例えば5位までしか挙がらなかった場合、「1位→10点」「2位→9点」…「5位→6点」としています。5作挙がって順不同だった場合、「10+9+…+6=40点」を5で割った「8点」を各作品につけています。

[それ以外のケース]8位までは順位があり、以下2作品が順不同、のような場合。8位までは順位通りに配点し、残り2作には「2+1=3点」を2で割った「1.5点」をつけています。