グラウンド・ゼロの跡地には…
そして、ウォール街の近くにあり、ニューヨークを代表する高層ビルの一つであるワン・ワールド・トレード・センターのある場所にも、高層ビルがあります。建物の形状が違っているものの、場所などを総合的に考えると、このビルをモデルにしたのではないでしょうか。
ただし世界貿易センター跡地のグラウンド・ゼロ、国立9月11日記念館博物館のある場所に、類似の建物や施設は見当たりません。
なおニューヨークを象徴する自由の女神像は、ウォール街の南にあるバッテリー公園から海の向こうにその姿を眺めることができますが、たどり着くことはできません。遠景なのが、少々惜しいところです。
大筋では本物でありつつも、一部は異なる理由について、「スパイダーマン2」を手掛けたソニーグループの米ゲーム開発会社・インソムニアックゲームズが、海外メディアなどでのインタビューで明かしをしています。街の完全再現ではなく、あくまでも「マーベルのニューヨーク」を再現する狙いなのだそうです。
そのためゲームの没入感を高めるために多くのランドマークを活用し、各地区の様式や建物の配置などは本物に合わせて制作。“見どころ”を巧みに強調しているのですから、ある意味本物よりも「らしさ」を感じるでしょう。説明されない限り、最初に見た人は「完全再現したニューヨーク」と錯覚してしまうレベルに達しているのも仕方ないと言えます。
ゲーム内のニューヨークは広大で、有名なランドマークといえども、探すのはなかなか大変でしたが、慣れてくると街の地理感覚がつかめてきます。ゲーム内でニューヨークを巡ってから実際のニューヨークに訪れた人は、スムーズに街を把握できるのではないか……と思えるほどです。
テクノロジーの“驚異的発展”
ゲーム中にスクリーンショットを撮り、あとで本物の写真と比較すると、ビルなどの建造物は見分けがつかないレベルに達しています。そう言えば、ゲーム内でのミサイルの発射シーンを、SNSで本物として配信するフェイクニュースがありました。実際にだまされた人がいたように、PS5やPCなどのゲーム画面は、人によっては誤認するレベルになっているのです。
そして、一連の出来事は、ゲームは既に現実に間違えられるような疑似体験ができるレベルにある……とも言い換えられます。
ゲーム業界が力を入れているVRに加え、今注目を集めている生成AIの進化が加わるとどうなってしまうのか。「スパイダーマン2」の作り出したニューヨークの街を眺めていると、人類の進化の恐ろしさを感じるとともに、ツールの使い方がより重要になるといえそうです。