生き残っているから揚げ店のスタイルとは
実際、大手であっても、ブーム終焉に対して策を練ったようなところは、いまだに生き残っている。
「すかいらーくグループの『から好し』は、ガストと店舗が一体となっているタイプもあり、専門店のリスクをわかっていたのかもしれません。また、単独店舗もありますが、から揚げだけではなく、親子丼やさまざまな定食を出すことで独自のスタイルになっています。
アークランドサービスホールディングスの『からやま』もから揚げだけではなく、油淋鶏やチキン南蛮、手羽先、なんこつなどバリエーションがあります」
高級食パン専門店での新路線も
専門性を広げていくという対策は、他のジャンルでも当てはまる。永田氏は高級食パンをひとつの例に出す。
「2013年頃から話題になった“高級食パン”も飽和することは目に見えていました。一般的なパン屋のビジネスは惣菜パンでファンを獲得し、日常パン(食パンやクロワッサンなど)で儲けるという仕組みです。そのなかで食パンに特化するという仕掛けは非常にうまかったですが、ブームは長続きしない。その後に、どうやって食パンに付加価値をつけていくかが重要なのです。
たとえば、『水にこだわる高級食パン』がキャッチコピーの『銀座に志かわ』は惣菜パンを販売している企業と提携するなど、食パン一本槍からの脱却を図っていますね」
軽はずみでブームに乗るのはただのギャンブル
今後も専門店は定期的にバズりそうである。それに乗じて一儲け狙うという人も出てくるだろうが、永田氏は最後にこうアドバイスをする。
「専門店の流行は大体2年ほどで終焉しますので、次の展開を見据えていない人は立ち去るしかありません。『ブームに乗って儲け逃げできるんじゃないか』と軽はずみで参入してしまうことは、ただのギャンブルです。
『流行っているらしい』と飛びつき、FCに加盟して自己破産した人も少なくない。見通しを立てぬままスタートを切ってしまえば、ほとんどが失敗に終わってしまうので要注意です」
今後から揚げ専門店は、から揚げ以外の付加価値を見つけ、生き残る道を模索することになりそうだ。