東京近郊の立ち食いそば屋で味わうことのできる大衆的「肉そば」。熱いつゆに肉の脂がしっとりと馴染みうまさが倍増する。今回は最近食べた中から特に印象に残った一品を紹介しようと思う。

 コロナ禍での物価高で、立ち食いそば業界も必死である。できるだけ利幅のとれるようなリッチなメニューを販売する傾向だ。「肉そば」もそのうちのひとつである。

すべてが上質な味の「しぶそば」

「しぶそば」は株式会社東急グルメフロントが経営。主に東急線沿線に店舗を構えるファストそばチェーン店。最近は国産そば粉「タチアカネ」を使った新そばフェアをやったり、とにかく質の高いそばを提供していることで知られている。

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「しぶそば」のつゆは鰹節を中心に各節類で構成された出汁を使い、薄口醤油の返しを合わせている。「肉そば」(680円)は返しや出汁で炊いた豚バラ肉というよりは赤味がしっかり入った肉で、斜め切りしたネギがいい食感と味を演出している。

 つゆをひとくち。薄くなくちょうどいい。温かいそばはコシもあってしっかりした麺である。つゆや豚肉の脂をまとってじんわりとうまさが伝わってくる。冷しで食べてもうまいがこの時期はやはりアツアツのつゆがいい。年末は恒例の年越しそばの予約受付中だ。「のるるんかまぼこ」もゲットできる。

「しぶそば二子玉川店」
「肉そば」は何とも美しい姿である
そばもしっかり、肉はしっとり

INFORMATION

「しぶそば」
 https://www.shibusoba.com/

関西風は「うまい牛肉、出汁香るつゆ」が決め手

「肉そばとおにぎり 一のや アキバトリム店」が秋葉原にできたのは2022年3月である。実はこの店、新大阪駅すぐ近くの人気店「浪花そば」を経営している株式会社ZIPANGUが東京に出店した店である。

 メニューには「肉うどん・そば」だけでなく関西発祥の「肉吸い」「肉どうふ」などもある。「肉吸い」は「肉うどん」のうどんのかわりに半熟玉子を加えたもので、関西風の香り豊かな出汁と少し甘めのたっぷりの牛肉と半熟玉子、刻み青ねぎを一緒に味わっていただくもの。まずは「肉そばおむすびセット」(800円)を注文してみた。

 つゆをひとくち。まず昆布や鰹節を主体にした出汁がグンと香るスッキリしたタイプだ。久しぶりの関西のつゆである。そして牛肉がたっぷり。つゆでじっくり炊いた牛肉は脂身の部分もすこぶるのうまさだ。途中から京都原了閣の黒七味で味変して一気に完食だ。そして梅おにぎりをかじりながらつゆを飲む。これは堪らない口福感である。結局おつゆを全部飲んでしまった。

 店の人に訊くと、インバウンドの客が最近はすごく多いそうで、英語の勉強もできるとか。白米や玄米で作ったおむすびのテイクアウトが相当人気で、1日に何度も店内で作っているそうだ。関西つゆが飲みたくなったら、いざ秋葉原の「一のや」へGOである。

秋葉原の「肉そばとおにぎり 一のや アキバトリム店」
肉そばおむすびセット」(800円)
この牛肉がうまい、つゆも抜群

INFORMATION

「肉そばとおにぎり 一のや アキバトリム店
住所:東京都千代田区神田佐久間町1-6-5  アキバトリム1階
営業時間:7:00~23:00
定休日:なし