肉のうまさが炸裂! 椎名町「南天」
師走に入った平日の午前中、久しぶりに椎名町の「南天」に行ってみた。西武池袋線にのって池袋から1つ目の駅である。下車した人が5人いたのだが、そのうち2人は「南天」に突撃していたという事実が凄いと思う。
お店の方に挨拶して、「肉そば」(500円)を注文した。午前10時までは玉子がサービスだとか。温泉玉子入りの少し小ぶりのどんぶりだが豚肉がドッサリのった一杯が登場した。これだ、このビジュアル。まずつゆをひとくち。
こちらもあっさりとした関西風のつゆである。このつゆは実はあり得ない方法で作られている。大量の玉ねぎを煮る。そして豚肉をバラだけでなく赤身なども混ぜてグツグツ煮る。それを合わせてベースを作り最後に出汁を合わせるのだ。つまり、まったく日本そばのつゆの作り方とは違う方法なのである。
店主の湯浅さんは洋食畑で修行した方でステーキなどの調理はお手のものだったとか。肉じゃがのようなそばつゆの味を目指したというところが天才的発想だ。そして、そばは平打ちの自家製麺。肉もいい具合の柔らかさ。そばに肉をこれだけおいしく調和させた人は湯浅さんだけだと思う。
初訪問時、「冷や肉そば」を食べて「角萬にはもう行かなくてもいいな」と呟いたことを思い出した。大晦日も夜通し営業で、正月元旦も店を開けるという。本当に頭が下がる。
INFORMATION
「南天」
住所:東京都豊島区長崎1-2-2
営業時間:5:30~25:30
定休日:なし
神田小川町「豊はる」は、いま旬の時
神田小川町に「豊はる」がオープンしたのは2023年1月である。店主の西村さんは修行先の「豊しま」の味とさらに自らの味を開拓すべく肉に取り組みもがいてきた。そして一筋の光が差してきた。「元祖パイカそば」を考案し人気を得た。さらにこの11月には「牛ばらそば」を発売し、グランドメニューに格上げとなった。肉をそばに近づけるべく日夜新メニューを考案しているのだ。そんな「牛ばらそば」(700円)を食べに行ってみた。
相変わらずの綺麗な店内、入るとすぐに「いらっしゃーい」と元気な掛け声が飛んでくる。注文すると、そばをまずじっくり湯通しする。そして湯切りしてどんぶりに入れて、アツアツのつゆをはる。そしてアルミ鍋のふたを開けてじっくり炊いた牛ばら肉をどんぶりに入れて、さらにその肉汁をどんぶりにかけていく。これがキーポイントだ。この肉汁がそばつゆと融合を果たすのだ。
到着したどんぶりのつゆをひとくち。このつゆはただのそばつゆではなくなっている。肉のうまみがしっかり沁み込んだつゆの味だ。これが全体の味を調和させしかも際立たせている。返しの醤油もやや薄口に変更し肉のうまみを引き出す工夫にチャレンジしている。薬味の生姜味噌がまた味の深みを増していくのだ。
なお12月は牛ホルモンを使った「てっちゃんそば」(810)円を販売中だとか。どこまで行くのか楽しみである。
INFORMATION
「豊はる」
住所:東京都千代田区神田小川町3-11-10
営業時間:月~金 6:30~18:00
土・祝 6:30~15:00
定休日:日曜日