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吉田照美が明かす「コミュ障からしゃぺりのプロになるまで」

吉田照美の「話術とは何か」#1

note

会話力を磨くためには

――話し方を磨くにはどうすればいいのでしょうか?

 会話力を鍛えるために、しゃべり方のうまい芸人さんを観察するのはいいと思います。フレーズや言葉の使い方が実に巧みだったりするから。

 でも、注意してほしいのは真似はしょせん真似ということです。真似は大事ですが、誰それさんのしぐさ、○○さんのイントネーションと、いろんな人を単純に真似して組み立てたところで、自分のものにはなりませんよね。

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 たとえば、お笑い芸人の千鳥ノブさん。僕はノブさんの方言が利いたしゃべりが面白いと思います。ノブさんの「せえ」は、東京なら「してみなよ」「してみれば」「どっちでもいいから早くやって」「いいかげん決めて」の、どれでもあてはまりそうです。「きい」なんて「おしゃれなものでも試して着てみれば」のような状況で言いますよね、たった一語で。このおかしみは標準語では表現できません。といって、ノブさんの「せえ」「きい」を同じ県の人が言っても、面白くない。ノブさんの内面が聞き手に伝わって、そこで初めて面白さが生まれているんです。

©山元茂樹/文藝春秋

 ただの真似はだめだと言いましたが、自分の話し方を磨こうと思うのなら、最初はまず「この人の話し方はいいな」と感じるモデルを見つけることから始めるべきです。そして意識的に真似をし、自分のしゃべりを録音して聞いてみる。初めは違和感があると思いますが、自分の話し方の欠点が客観的に見えてよくわかるはずです。そんなことを繰り返していくと自分の持ち味を生かした話し方が見えてきます。そうやって自分のしゃべりの型をつくっていくことがとても大事だと思います。

#2に続く

「コミュ障」だった僕が学んだ話し方 (集英社新書)

吉田 照美(著)

集英社
2017年12月15日 発売

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