「女孫の職業は看護師でした。看護師は8時間シフトで働きますが、彼女は夜のシフトで働いていました。夜のシフトの看護師は記録を書くのに赤いインクを使います。当時、女孫には2人の小さな子供がいましたし、患者のケアをする職業についていましたから、誘拐したジョンベネを慰めようと、職業柄使っていた赤いペンで手のひらにスマイル・フェイスを描いたのではないかと考えました。
また、ジョンベネの足にはベビーオイルを使って拭かれた痕跡がありましたが、最近、女孫の関係者から、彼女がベビーオイルをよく使っていたという証言も得ました。
事件後、事件に関与したと告白する匿名の女性からの電話メッセージも検察局に残されていたのですが、それは女孫が残したものではないのかと推測しています」
新たな警察署長が着任。捜査は動き始めるか…
さらに、クラーク氏は1996年に公開された映画にも注目した。調べてみると、この年には、グループによる犯罪にフォーカスした映画が50近くも公開されていたという。犯人はそんな映画を観て、犯行のやり方を学んだのではないかと同氏はみている。
10年間にわたり地道に調査をしてきたクラーク氏だが、大きな壁がある。それはボールダー警察が、クラーク氏らの膨大な調査内容やDNA鑑定の結果を受け入れてくれるかどうかだ。これまで、ボールダー警察は受け入れを拒否してきたという。しかし、クラーク氏には一条の光も差している。それは、これまで事件を捜査してきた警官が捜査から外されたこと、また、数年前、ボールダー警察の警察署長が代わったことだ。
「我々は捜査に揺れ動きが起きると期待している。新たなタスクフォースがこの事件の調査に真剣に乗り出してくれると願っている。たとえ今回もボールダー警察が我々の調査結果を受け入れてくれなくても、我々は重要参考人リストから排除できない人物たちの調査をこれからも続けていくつもりだ」
事件解決に向けたクラーク氏の決意は揺るがない。
事件から27年。
クラーク氏はクリスマスが近づくと、毎年、ジョンベネの氷の彫像を作っている。それは天使の形をした美しい彫像だ。今年も彫像が完成した。その写真をジョンベネの父親ジョンに送ると返事がきた。「素晴らしい。優しく、穢れなきジョンベネを象徴している」と記されていた。
天使になったジョンベネは、空の上から、一刻も早く犯人が逮捕され、正義が果たされることを祈っていることだろう。