自民党のパーティー券問題では大活躍している「ジャーナリスト」が複数いる。

 たとえばキックバックという言葉を私が最初に知ったのは新聞や週刊誌ではない。田崎史郎氏(政治ジャーナリスト)がテレビで喋っていたからだ。

田崎氏の最近の面白さ

 NHKが11月18日に『自民5派閥の団体 約4000万収入不記載で告発 特捜部が任意聴取』と報じたあと、11月23日のBSフジ「プライムニュース」で田崎史郎氏が早々に安倍派の「キックバック」の慣習について解説していたのだ。そんなからくりがあったのかと驚いていたら1週間後の週刊文春(11月30日発売号)に安倍派の秘書の証言が載った。

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「ノルマ以上に売れる議員は限られていますが、ノルマを超えた分については一定の割合で還付される慣行があります。いわゆる“キックバック”です」

 収支報告書上の記載はしておらず、事実上の裏金になっているというのである。文春報道の日、自民党安倍派(清和会)の塩谷立座長はキックバックについて報道陣に問われて「そういう話はあったと思う」と語った。さらにそのあと慌てて「撤回」したから“パーティー”は余計に盛り上がり始めたのである。

©時事通信社

 ここで強調しておきたいのは田崎史郎氏の最近の面白さである。田崎氏は自民党の権力者たちとの近さを武器にしているからこれまでは権力者の「広報」的な役割にも見えた。しかし今回の裏金問題では田崎氏は知っていることを話すだけで「論評」になってしまうのである。なんとも皮肉な構図ではないか。