文春オンライン

安倍元首相はキックバック問題に“激怒”したのか…? 新聞読み比べで見えてきた「報道のニュアンスの差」とは

2023/12/26
note

ほかにも功績があった

 田崎氏の功績はまだある。最近、安倍派の議員がよく使う言葉に「政策活動費」がある。これも気になる言葉だ。キックバックされた資金についてたとえば池田佳隆議員の事務所は、

「党からの政策活動費と認識して記載していなかった」

 などとコメントしている。

ADVERTISEMENT

 政策活動費は、政党の収支報告書には議員名や金額を記載しなければならないが、議員側には記載義務はない。なので不記載は悪意がなくうっかりミスだったという主張なのだろう。

 しかし田崎史郎氏はこの言い分について「安倍派は政策活動費だったと最近言い始めているが、口裏合わせというか、これでいこうという防衛ラインを決めたのではないか」と各所で喋っているのである。安倍派の算段をぶち壊す田崎史郎!

「知る人ぞ知る話だった」

 しかし一方で「ジャーナリスト」と名乗っているのだから、知っていたなら最初から教えてよという思いもある。実際、田崎氏は四国新聞のコラムでこっそり次のように書いていた(12月17日)。

《今回の政治資金パーティーを巡る疑惑がいずれ噴き出すことは知る人ぞ知る話だった。》
《昨年11月、「しんぶん赤旗」日曜版が報じて以来、自民党本部事務方トップは警戒感を抱き、岸田に早期解散を進言していた。》

 なるほど、つい最近まで年内解散説が出ていたのはそういう理由もあったのか。解散してしまえばうやむやになるという作戦だったなら本当に姑息だ。それにしても田崎さん、こんな大事な問題を「知る人ぞ知る話だった」だなんて早く報じて下さいよ。

 田崎氏のほかに目を引く活躍をしているのは岩田明子氏だ。元NHK記者で安倍元首相に最も食い込んだという触れ込みの方だ。