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ギャラリー勤務経験のある作家・一色さゆりが語る、美術館を楽しく回る“3つのコツ”

ギャラリー勤務経験のある作家・一色さゆりが語る、美術館を楽しく回る“3つのコツ”

『ユリイカの宝箱』一色さゆりインタビュー〈後編〉

2024/01/05

source : 文春文庫

genre : エンタメ, アート, 読書,

note

――世界的に見ても、日本は美術館が多い国なのでしょうか?

 そうだと思います。バブルの時代に一気に建ったんですよね。ただ、「箱」が増えた分、その業界の人たちは運営面での問題に直面しています。管理するにもお金がかかりますし……。ちょうどコロナ前くらいに、バブルに建った建物が一斉に老朽化して、美術館の改装ラッシュがありました。お客さん目線だと、沢山見るところがあるので楽しいんですけどね(笑)。

© 文藝春秋

美術館を楽しく回るための3つのコツ

――なるほど。最後に、ギャラリー・美術館勤務経験のある一色さんに、美術館を回る中で心がけている楽しみ方や回るコツがありましたら、お聞きしたいです。

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 これは旅全般に言えることですが、歩きやすいスニーカーで回るのがおすすめです! おしゃれをしたくなる気持ちも分かるのですが、結構長時間を歩き回るので、履き慣れた靴がいいですね。

作中にも登場する碌山美術館。写真:アフロ

 あとは、夏場に行く場合は、上着を持って行ったほうがいいかもしれません。以前、美術館に勤務していた時に来館者アンケートを職員間で共有していたんです。その半分くらいは、「寒い」「空調が効きすぎている」という意見で……。作品を保管するためには、人には多少寒いくらいの温度がちょうどいいんですよね。でも、これだけ毎月のように寒いと感じている人が多いというのは、衝撃でした。

 あとは、そうですね……これは精神的な部分なのですが、時間と心に余裕をもつといいと思います。普通の旅行だと、観光地に足を運んだときとか、何かと写真を撮りますよね。でも、アートの旅だと、必ずしも写真を撮るのがそんなに重要じゃなかったりする。

 自分の心の中でどんな変化があったのか、どんなことを知ったのか。そんな精神的な収穫が得られれば十分だと思います。だから、心落ち着く音楽とか、スケジュールを詰めすぎないとか、そのあたりを意識するといいかもしれません。旅行で予定を詰めすぎてしまうと、ついついスタンプラリーみたいになってしまうので(笑)。

――一色さん、ありがとうございました。

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