昨年5月、福岡県柳川市の「ハリウッドワールド美容専門学校」の敷地内で開かれたバーベキューで、学生4人が死傷した事件。1月19日、警察は専門学校の古賀英次理事長(64)など3人を、業務上過失致死傷の疑いで書類送検した。古賀理事長は、火のついたバーベキューコンロにアルコールを使用することを決定するなどした疑いが持たれている。

 いったい何が起きていたのか。事件を報じた当時の「文春オンライン」の記事を再公開する(初出:2023年6月11日/年齢・肩書きは当時のまま)。

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 5月24日午後0時55分ごろ、福岡県柳川市にあるハリウッドワールド美容専門学校の敷地内で開かれたバーベキューで、男子学生4人がやけどするという事故が起きた。うち1人が6月6日に搬送先の病院で死亡。学生生活の思い出になるはずの初夏のバーベキュー大会は、一瞬にして阿鼻叫喚の記憶へと変わってしまった。

燃え盛るコンロにアルコールをぶち込んだ

福岡県柳川市にあるハリウッドワールド美容専門学校 Ⓒ文藝春秋

 事故のきっかけは、男性教員がアルコールをコンロに投入したことだった。爆発的に燃え上がった火は瞬く間に学生4人の衣服などに燃え移ったとされている。亡くなった1年生の男性(18)の死因は敗血症性ショック。警察は業務上過失致死傷容疑で調べを進めている。

 現場を取材した全国紙記者が説明する。

過去に行われた同校のバーベキューの様子(読者提供)

着火にもアルコールを使っていた

「事故が起きたバーベキューは学生と教員を合わせた約480人で行われました。60代男性の理事長は12台のコンロの着火担当で、新聞紙などにアルコールを染み込ませ、副理事長と一緒にライターで点火。その後、生徒らを呼びバーベキューを開始しました。事故が起きたのはそれから10分後。火の弱かった1台のコンロに20代の男性教員が手指消毒用のアルコールを直接注いだところ『ボンッ』と音を立てて燃え上がり事故に繋がったといいます。

 病院に搬送された4人の学生は会話ができるほど回復していたそうですが、全身にやけどを負っていた18歳男性の容態が急変し、その後死亡が確認されました。それを受けて学校は7日から休校し、9日には県に報告書を提出。今後、第三者委員会を設けて原因の検証を進める方針だといいます」

コンロの跡(FBS福岡放送より)

 燃え盛る火にアルコールを吹きかけるという常識外れな事故はなぜ起きたのか。学校側はマスコミの取材に〈熱中症などを防ぐため、短時間で焼こうとした。アルコールを使ったのは今回が初めてだった〉とコメントしている。