カーストを作っておくことのメリット
出井 (笑)。そのときはすごい怒ってましたね、いろいろね。それこそハインリッヒさんと愚痴吐き出してたりしたっていうのもそうですけど。劇場の悪いところなんでしょうけど、そのカースト上位の人たちが、そんなつもりなくてもだんだんふんぞり返ってきちゃうみたいなところがあるんです。上になるにつれて怒ってくれる人がいなくなるから。
――なるほど。そのカーストの一番上にダウンタウンがいる。
楢原、出井 (笑)。
出井 カーストをしっかり作っておくことのメリット、先輩後輩しっかり作っておくことのメリットもあるんですよ。舞台でも収録でも何でもそうですけど、なにもウケない時、後輩が先輩に失礼なこと言えばなんとかなる。
――ああなるほど。
出井 「おまえ俺先輩やぞ」と返せばなんとか笑いにつながりますからね。理に適ってる点もあるし、全然悪い事でも何でもない。ただ僕らがそこに馴染めなかったというだけです。
東京出てきたら、事務所も年齢も関係なかった
――東京に来たら、関係性も何もないところからのスタートになりますね。
楢原 だから楽でした、僕は。しがらみがないし。向こうも気を遣わないし、こっちも気を遣わないし。同い年ぐらいだったらもう全然タメ口でもいいし。食事行っても割り勘でいいし。
出井 たしかにそこはみんなフラットだった。
楢原 錦鯉さんと飯行っても、錦鯉さんがちょっと多めに出すだけっていう。
――吉本だったら売れていようがいなかろうが必ず先輩が奢りますもんね。
楢原 吉本の芸歴だったら考えられない(笑)。でも錦鯉さんもさすがに10も年下のやつに割り勘でいいわけないって思うのか、でもお金もないから、1000円2000円多めに出してくれてました。それくらいの気遣いが心地よかった。
出井 僕らからすると「東京にはこんなに知らない面白い芸人がいっぱいいるんだ」って、衝撃だったですね。いかに自分たちが大阪の狭い世界でやってたのかと。その狭い世界の上下で一喜一憂したりしてたんだっていうのは、思い知りました。メイプル超合金とか知らなかったもんな、こっち出てくるまで。モグライダーも知らなかったし、ランジャタイも。そういう面白いなと思った人たちがみんな受け入れてくれたので、うれしかったですね。
楢原 うれしかった。
出井 東京で初めて錦鯉さんと一緒になった時に、(渡辺)隆さんが「なんか大阪から来たやついるらしいな」って僕らのネタを客席で見てくれたんですよ。それで後輩に「ああ、おもしれえじゃねえかよ」「あいつら大阪に追い返せ!」みたいなことを言ってたというのを聞いて。よかったなぁって。
楢原 吉本時代は同期でも、あいつは1軍、こっちは3軍みたいな、見えない上下があるのが窮屈だったんですけど。東京出てきたら、事務所も年齢も関係なかった。等しく全員売れてなかったので(笑)。
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