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佐川宣寿 前国税庁長官
「どういう経緯で、誰が具体的に指示していたかをお答えできておりませんので、その点については明らかになっていない。各委員にそういうお叱りを受けているとおり、ご満足できていないんだろうと思います」

BuzzFeed NEWS 3月27日

©文藝春秋

 証人喚問で最後に質問に立った日本維新の会・丸山穂高議員の「国民は納得していると思うか、解明できていると思うか」という質問に対して、佐川氏自らこう答えている。つまり、国民はこの証人喚問について「満足」していないということだ。だめじゃん。

 安倍首相、昭恵夫人、首相官邸などの関与は佐川氏によって明確に否定されたが、これで世論が収まるはずがない。むしろフラストレーションだけが蓄積されたと言っていい。

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 コラムニストの小田嶋隆氏は「政局は、これからしばらく、『何かが明らかになる』ことによってではなく、『何ひとつ明らかになっていない』ことへの苛立ちや諦念がもたらす複雑な波及効果によって動くことになることだろう」と指摘している(日経ビジネスオンライン 3月30日)。

麻生太郎 副総理兼財務相
「みんな森友の方がTPP11より重大だと考えているのが、日本の新聞のレベル」
「日本の新聞には1行も載っていなかった」

朝日新聞デジタル 3月29日

 証人喚問の2日後にあたる29日の参院財政金融委員会で、米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP11)について質問された麻生財務相が、森友学園問題をめぐる報道についての不満を爆発させた。

 麻生氏は答弁の中でTPP11について「日本の指導力で、間違いなく、締結された」と語り、茂木敏充経済再生担当相が出席した署名式については「茂木大臣が0泊4日でペルー往復しておりましたけど、日本の新聞には1行も載っていなかった」と発言。麻生氏の発言を受けたネット上の安倍政権支持者らは「まさに真実」「麻生無双」と沸き立った。

麻生太郎副総理(左)©文藝春秋

 しかし、8日午後(日本時間9日未明)に開かれた署名式については、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞などが9日付夕刊、翌10日付朝刊で報じている。政権に近い読売新聞も、「読売新聞をはじめ、主要各紙は署名式を大きく報じており、事実とは異なる」と静かに怒りを表明した(3月30日)。また、茂木氏が出席した署名式が行われたのはペルーではなくチリの首都サンティアゴであり、そもそもTPP11はまだ「締結」されていない。国会で協定が承認され、関連の手続きを終え、協定寄託国であるニュージーランドに通知した時点で「締結」とされる。麻生氏は事実誤認にもとづいて、メディアを攻撃したということになる。

 30日午前の参院財政金融委員会で麻生氏は、前日の答弁について「森友に関し、公文書を書き換える話は誠にゆゆしきことで遺憾の極み。軽んじているつもりは全くない。そういう印象を与えたのであれば訂正する」「森友と比較したのがけしからんという点については、謝罪させて頂きたい」(朝日新聞デジタル 3月30日)と発言を全面的に撤回、謝罪した。

 しかし、これに先立つ午後の記者会見では、「新聞は努めて読まないようにしているから詳しくないが、TPP11の扱いは小さかった」と再び言い放った麻生氏(時事ドットコムニュース 3月30日)。新聞を読まずに何を読んでいるんだろう? 保守系まとめサイトかな?