みゆきさんが平屋に憧れるようになったのは、よく見ていたSNSがきっかけだったという。
「好きなインフルエンサーが、素敵な平屋の写真を投稿しているのをみて『これだ!』と思いました。もともとマイホームは『人と被らない雰囲気の家にしたい』と考えていた私にとって、平屋はまさに理想通りでした。平屋というだけで個性が出るし、子どもたちが家を出た後の夫婦の生活もイメージしやすいからと、最初は難色を示していた夫を説得しました」
千葉で土地を購入し、平家を建てた
ワンフロアゆえに広い土地と建坪を必要とする平屋は、同じ居住面積なら価格が相場より上がる傾向にある。また都内では、そもそも平屋を建てられるだけの広さの土地を見つけることが難しい。
丸山さん一家は当初都内にマイホームを建てる予定だったが、千葉に引っ越すことを決めた。
「千葉に約100坪の土地を購入して、3LDKの平屋を建てました。最寄り駅から徒歩25分ほどの距離で、決して便利とは言えない場所ですが、平屋での暮らしを思うと新天地も悪くないかもって。実際、越してからは騒音を気にせずにのびのび暮らせるようになって、家事動線もスムーズになりました」
とはいえ丸山さん夫婦はどちらも都内勤務。コロナ禍が落ち着いてからは出社する日数も増え、通勤時間は大きな負担になった。
通勤に往復4時間
「通勤はこれまでの倍以上、往復で4時間かかるようになりました。子どもを朝7時に保育園に送ってから出社するので朝はいつも遅刻寸前ですし、17時に退社して大急ぎで子どもを迎えにいっても閉園時間の19時ギリギリ。その時間に迎えに行くと、いつも残っているのはうちの子たちだけで、子どもにも保育士さんにも申し訳ない気持ちになってしまいます。
家を建てた当初は『どうにかなる』と気楽に考えていたのですが、通勤時間が1時間増えるだけでここまで生活に余裕が無くなるなんて想定外でした」
こだわりと引き換えに、生活が大きく変わってしまった丸山さん一家。さらに、初めはキラキラして見えた平屋に対する気持ちも、今はすっかりなくなってしまったとみゆきさんは続ける。