春からの新生活に向け、今まさに住まい探しに奔走している人も多い。何度も内見を重ね、賃料の予算と物件の条件を熟考して賃貸契約を交わしたつもりでも、引っ越してから住みにくさがわかった、なんてケースも少なくないだろう。

 そこで今回は「物件選びで失敗したくない!」というみなさんに代わって、不動産のプロに“住んではいけない部屋”の特徴をズバリ訊いてみた。(※単身向け集合住宅の賃貸物件が対象)

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「絶対に選ばない」と断言した部屋

 都内を中心に不動産仲介業を営む中村伸樹さん。彼が「自分は絶対に選ばない」と断言したのは、一般的には好条件とされているアノ部屋だった。

「私ならマンションの“最上階角部屋”には住まないですね。ほかの部屋に比べて日当たりはずば抜けて良好で、開放感もありますが、窓が多いので夏は暑くて冬は寒い。一年通して冷暖房費がかさむ部屋でもあるんです」

 その一方で、角部屋に挟まれて窓がひとつしかなく「うなぎの寝床」と揶揄されがちな中部屋は、四方を壁に囲まれているので外の騒音が聞こえにくく、冬は暖かいなどのメリットがあるという。そして、最上階の部屋にはもうひとつデメリットがある、と中村さん。

「角部屋、特に最上階にあるマンションタイプの部屋は漏水リスクが高いんです。角部屋は、階数問わず外壁にクラック(ひび)が入ったら、浸水リスクあります。

 マンションの屋上は、雨漏りを防ぐために専用の防水塗料を塗ったり、シート状の防水材を貼ったりなどの防水加工を施しています。マンションタイプは、防音・耐震・火災には強い反面、水に弱いという性質があります。

 確かに築浅物件の防水性は高いですが、古いマンションはシートが経年劣化している可能性も考えなければならない。大雨で屋上がプール状態になってシートに穴が開くと、真下にある部屋の天井に漏水が発生してしまいます。昔、賃貸物件の管理会社で働いていたのですが、最上階部屋の漏水被害はいくつも目撃しました」

 防水シートは10年ほどで貼り替えの工事が行われる。しかし、自分が住みはじめたタイミングが貼り替え直後とは限らないため「築年数が古い物件の最上階は、避けるのがベター」と、中村さんはアドバイスを送る。