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 家具・家電は買い換える予定がないなら、内見の際にサイズを把握していくのも失敗を防ぐコツだという。

本当に起きた、下階の天井が落ちる悲劇

 近年、築年数が古いマンションは入居者の退去後に部屋の清掃だけでなく、リフォーム工事を行うケースが多い。新たな入居者としてはありがたいが、そんなリフォーム済みの部屋の“床”には落とし穴がある、と、前出の中村さんは語る。

「とくに注意してほしいのは、元々洋室の部屋に“ウッドタイル”を敷き詰めたリフォーム済みの部屋です。これらはフローリングの上に敷くだけでフローリングに見えるアイテムなのですが、床下に湿気が非常に溜まりやすいという特徴があります。

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 雨が降って窓のサッシに水が溜まると、クッションフロアに雨水が染みていき、時間の経過とともに重くなっていく。すると、ある日突然、その重みで下階の天井が落ちてしまった、というケースを見たことがあります」

 中村さんが現場に向かうと、リフォーム工事のときに古いフローリングの上にウッドタイルを敷いた事実が判明したという。

 下階の天井が落ちるリスクを考えると、オーナーにとってもデメリットが大きいように思えるリフォーム方法だが「彼らにも事情がある」と、斉藤さん。

「畳や老朽化したフローリングから本物の新しいフローリングに貼り替えるには、畳や元々のフローリングを剥がして基礎工事をするなど多くの手間と費用がかかるので、畳のまま、古いフローリングのまま入居してほしいのがオーナーの本音。

 ですが、かつて主流だった畳の和室や80年代のバブル期に流行したカーペット貼りの床は、令和になると清潔感がない印象になり、借り手が敬遠する要素になっています。

 その折衷案として、クッションフロアやウッドタイルを敷いて入居者を呼び込むのが、近年の傾向です」

 時代とともにニーズは変化する。仮に、築年数が古くてリフォーム済みのマンション購入を検討する際も、素材をチェックすれば下階天井が抜け、損害賠償しなければいけない悲劇は免れそうだ。

 世の中で“好条件”とされている物件が、自分にとっても住みやすいとはかぎらない。賃貸といえど、物件探しは慎重に行いたいものだ。