賃貸物件を借りるとき、借り主はさまざまな“条件”を決める。駅からの距離や間取り、バストイレ別など、ゆずれない条件やこだわりは人それぞれだが、家賃の予算との兼ね合いで何かしら妥協をした経験がある人も多いだろう。
また、内見では気づかなかった不便さや、近隣住民とのイザコザなど、住みはじめてからその家が抱える危うさを実感するケースもある。本稿では、そんな賃貸物件にまつわるトラブル体験談を紹介する。
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“9畳のサンルーム付き”の部屋に引っ越して後悔
時田春香さん(仮名・26歳)が部屋を探しはじめたきっかけは、友人とのルームシェアの解消だった。
「一緒に住んでいた友だちが、突然家を出てしまったんです。それまでは10万円の家賃と光熱費を折半して、2DKのマンションに住んでいました。友人の勝手さにもかなりムカつきましたが、怒っていてもなにも変わらないので、近所の不動産屋に駆け込みました」
新居の予算は6万円前後と決め、セキュリティを考慮して2階以上のオートロック物件を最低条件に据えた。
「その日3件内見して契約したのが、共益費込みで6万5000円のワンルームマンションでした。しかもその部屋はただのワンルームではなく、キッチンなどの居住スペースの隣に“9畳のサンルーム”が付いている部屋だったんです。サンルームと居住空間は、ガラス戸で仕切られていました。サンルームは、もともとバルコニーになっていた部分をリフォームしたとかで、屋根もあってちょっとした部屋になっていました。
家賃もその地域では相場よりも安かったので、お得感があったんですよね。キッチンの狭さや洗濯機の屋外設置など気になるところはありましたが、ほかの2件はジメジメして日当たりが悪かったので『サンルームがあるなら、日当たりがいいはず』と、目をつぶりました。開放感もあるし、まあいいかという感じでしたね」
住んでみてわかった「灼熱地獄」
何より、同居人がすでに退去済みで時間がなく、最低条件も満たしていたため、すぐに件の家を契約した。しかし、時田さんは住みはじめてすぐに後悔したという。
「引っ越したのは秋でしたが、数日後に気温が30℃近くまで上がった日がありました。日中、部屋の中が灼熱地獄になって、窓を開けても暑いまま。どうも、サンルームに日が射すせいで、室温が余計にあがってしまうみたいなんですね。サンルームの天井には反射板がついていましたが、まったく意味なかったですね。
その日、入居したことを後悔するとともに、来年の夏への不安が過ぎりました」