昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ベランダ50畳のワンルーム、玄関開けたら0秒でトイレ…日本で続々「ナゾの間取り」が生まれるワケ

 テレワークへの関心が高まり、改めて「我が家」を省みることが多くなった今日この頃。こだわりどころは人それぞれだが、不動産情報サイトを検索してみると、なかには「なんだこの間取りは!?」と思うような物件に出会うことも少なくない。

 どうしてそんな「ナゾの間取り」が生まれてしまうのか。『事故物件vs特殊物件 こんな間取りはイヤだ⁉』(ダイアプレス)にも寄稿したジャンヤー宇都氏が紐解いた。

◆◆◆

「目的もなく地図を読むのが好きだ」という人がいる。地図には、そこに暮らす人の営みを俯瞰する楽しみがある。古地図だとか、軍隊の作戦図、鉄道の路線図を漠然と眺めるのも面白い。

 ところで読者の皆様は、不動産情報誌や住宅情報サイトを開き、ひたすら間取り図を眺めるという(ネクラな)趣味があることをご存知だろうか。

 実は筆者もその筋の一員で、今より家賃が安いアパートを探すつもりが、間取り図に見入って徹夜してしまうようなこともしばしばある。この趣味に関しても、「地図ファン」の道楽に似通ったものだと感じている。

 今回は、筆者が過去に住宅情報サイトなどで発見した「ナゾの間取り」のうち数点を紹介しつつ、そういった物件が生まれるに至った背景を追っていきたい。

トイレまで力士サイズ!究極の居抜き物件(@墨田区)

 

 店舗の入れ替わりの激しい地域では、「居抜き」の賃貸物件が好まれる。廃業したBARや焼鳥屋の跡地に、また別のBARや焼鳥屋が入るのだ。什器などの設備を流用できることから、開店費用の節約になる。業態が似通っていればいるほど、居抜きの効果を享受することができる。

 ところがある日、とんでもない「居抜き物件」が現れてインターネットで話題になった。なんと相撲部屋の居抜き物件で、1階には土俵が用意されている。これに限っては、他業種での使い道がまったく思いつかない。

(写真はイメージ)

 間取り図を見て「なるほどな」と思うのは、あらゆる部分が「力士仕様」になっていること。たとえばトイレは、すべて力士サイズの和式便器になっている。面積は通常サイズの2倍以上あり、常人が用を足そうとすると、すさまじいガニ股姿勢を取ることになりそうだ。用便中にズッコケて、便器に落ちるのも怖い。

 ちなみにこの物件は、賃料45万円でテナント募集されていた。所在は両国国技館まで約2kmの地点。安いと見るか高いと見るか、なかなか相場のつかみにくい居抜き物件である。