2021年10月、当時19歳の男が甲府市の住宅で夫婦を殺害し、住宅に放火した罪などに問われている事件。死刑判決が言い渡された遠藤裕喜被告(21)が、東京高裁への控訴を取り下げた。これによって死刑判決が確定した。
当時19歳の少年は、なぜ理不尽な犯行に至ったのか。事件を報じた「文春オンライン」の記事を再公開する(初公開:2021年10月15日/遠藤被告の名前・年齢は公開当時のまま)。
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「警察はAが少年法が適用される19歳だったこともあり、徹底した緘口令を敷いています。山川さんの長女やAが通っている高校も、生徒に対して一切の説明を行っていないため、ほとんどの生徒がAが誰かもわからない状況です。様々な事情から高校を休む生徒も多いため、事件があってから登校していない生徒が次々と犯人扱いされるなど、デマが横行しています。特にネット上では、事件とは全く関係ない生徒が犯人扱いされ、写真も拡散される“被害”が拡大してしまっています」(全国紙社会部記者)
山梨県甲府市の山川章弘さん(仮名)の自宅が全焼し、焼け跡から山川さん夫婦とおもわれる2名の遺体が見つかった事件。山梨県警は14日、山川さんの次女に怪我を負わせたとして傷害容疑で逮捕した少年A(19)を甲府地検に送検した。Aは山川さんの長女の知人で、同じ高校に通っていた。
少年を乗せた警察車両はカーテンでおおわれ、車を乗り降りする際も足元までパーティションが設置されるなど、警察による“厳戒態勢”がとられていた。
Aは警察の取り調べに対し、「事件を起こしたことを後悔している」と供述しているが、放火され全焼した山川さん宅から見つかった遺体の状況はあまりにも悲惨だった。捜査関係者が明かす。
Aは「長女に好意を寄せていた」などと供述
「Aはもともと一家全員を殺害するつもりで、刃物も複数持参していたとみられます。焼け跡から見つかった2つの遺体には10箇所以上の刺し傷があり、深いものは臓器まで達していた。Aは最初に、当時1階の寝室で寝ていた山川さんを殺害し、続いて、逃げた山川さんの妻に手をかけた。事件発生当時、近隣住民が耳にした女性の『やめて』という叫び声は、この時発した妻の声だと思われます。
Aは『山川さんの長女に好意を寄せていた』『長女とLINEができなくなった』とも供述してます。警察はAが長女に対して一方的な好意を寄せていたが、思い通りにならなかったことが犯行の背景にあるとみて取り調べを続けています」
あまりに身勝手な理由から凶行に及んだとみられるAに対して、山川さんの長女の友人は怒りで声をふるわせながら取材班にこう語った。