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「同じ19歳の女性として、アイヌの歴史の中の自分をイメージした」吉田美月喜が語る『カムイのうた』への意気込み

2024/02/06

source : 提携メディア

genre : エンタメ, 映画, 芸能

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 単語ひとつひとつ完璧に耳コピできたと思っていたんですけど、いざ撮影が近くなって、ロケのために北海道入りして現地でユーカラの先生にチェックしていただいたら、予想以上にダメ出しをいただいて「あれ?」って思いました(笑)。

本当の伯母と姪のように…

──どんなダメ出しですか?

 実はユーカラって「歌」ではなく「物語」なんです。だから、同じ単語でも場面によっては暗く謡うこともあるし明るく謡うこともあるとか、この文章は明るい表現に使うフレーズだとか、ていねいに意味を教えていただきました。

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「自分の思うように、会話をするみたいにやってくれたらいいよ」とアドバイスもいただき、はじめはただ音として聴いて覚えていたものが、「これは物語であり、会話なんだ」と理解できたことで、ちょっとずつ“本物”らしく謡えるようになったのではないかと思います。

──もともと歌はお好きなんですか?

 はい、好きです。CMではコマーシャルソングをワンフレーズ歌わせてもらったこともあります。でも、お仕事としてちゃんと歌うというのは初めてだったので、緊張しました。しかも最初の歌の仕事がユーカラで、そのうえ島田歌穂さんとのデュエットって……すごいハードルですよね(笑)。

歌うことが好きという吉田美月喜さん。

──ミュージカルで世界的に活躍している島田歌穂さんとのユーカラの共鳴は、初めてとは思えないほどお見事でした。本当に血のつながりのある肉親なのでは、と思えるほどの抜群のコンビネーションは、どう構築されたのですか?

 島田さんとは、ロケ地の北海道で初めてお会いしたんですけど、とにかく私がガチガチに緊張してしまっていたので、役と同様、本当の伯母と姪のように、何かと気にかけてくださいました。テル役を演じきり、ユーカラを謡い上げることができたのは、島田さんが大きな愛で支えてくださったからだと思います。

 島田さんがユーカラを謡うと、意味がわからなくても説得力があって、すごく引き込まれるんですよ。間近で聴かせていただいて、あらためてすごい方だなと思いました。でもその島田さんでも、「ひとつひとつの音が集まってできる音楽を、感覚で表現するのは難しい」とおっしゃっていたので、島田さんに引き上げていただきながらユーカラを謡えたことは、私にとって大きな自信になりました。このユーカラを聴くだけでも心が震えますので、ぜひ劇場のいい音響で聴いて、見ていただきたいですね。

「同じ19歳の女性として、アイヌの歴史の中の自分をイメージした」吉田美月喜が語る『カムイのうた』への意気込み

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