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「500万円の人間もいたが…」特殊詐欺グループに入ったのに月30万円しか稼げなかった男の末路

『闇バイトで人生詰んだ。』より #1

2024/02/11

genre : ライフ, 社会

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 研修期間が終わり、別の詐欺グループと合流し同じ融資保証金詐欺を行った。場所はマンションではなく別の事務所。ペーパーカンパニーの名義で借りたようだった。事務所の中には、オフィスデスクが10個並んでいて、一人一台固定電話機が目の前にあった。メンバーは11人。

 年齢は皆私と同じくらいの男ばかり。繋がりを聞いてみるとどうやら地元の不良グループの先輩後輩で成り立っているとのことだった。二人一組になり、5社の嘘の金融会社を語り、詐欺を行った。

月500万以上の大金を得る者も…

 不良グループのメンバーは若いが全員羽振りがとてもよかった。高級車に乗り、高級時計をつけてブランドものの服を買い漁っていた。上層部の人間はかけ子のメンバーへ相当な還元をしていた。平均して月に100万円以上。中には500万円の収入を得ている者もいたが、私の上層部はまた別の人間だったため、そのメンバーと同じような報酬は全くもらえず、いくら売り上げを上げても30万円程にしかならなかった。

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 なぜなのか……私は上に話をしてみたが、上の人間は「経費が色々かかりすぎている。それを回収するのにどうしてもこの金額になってしまう。あと、将来的にこういう詐欺はすぐに辞めて、会社を起こして君を社長という立場にしたい。そのためにお金をプールしている」と言って聞き入れてもらえなかった。

 そんな話は最初に一言もなかったが、若かった私は素直に引き下がり、そしてうまく口車に乗せられながら、上の人間を信じて詐欺を行っていた。 

「500万円の人間もいたが…」特殊詐欺グループに入ったのに月30万円しか稼げなかった男の末路

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