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「500万円の人間もいたが…」特殊詐欺グループに入ったのに月30万円しか稼げなかった男の末路

『闇バイトで人生詰んだ。』より #1

2024/02/11

genre : ライフ, 社会

「ここでやめていればよかったものの、最初の段階で身分証明書のコピーを取られ、反社会的勢力の名称もチラホラ出され、下手に逃げられない……」

 2015年特殊詐欺事件主犯として詐欺罪で逮捕され、今は犯罪撲滅活動家として活動するフナイム氏。もともと役者志望のフリーターだった彼はなぜ“特殊詐欺グループの一員”になってしまったのか? フナイム氏による反省と警告の書『闇バイトで人生詰んだ。~元特殊詐欺主犯からの警告~』(かざひの文庫)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

役者志望のフリーターがなぜ特殊詐欺グループの一員に…。写真はイメージ ©getty

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詐欺師になってしまった日

 降りたった駅はファミリー向けのマンションが建ち並ぶ川崎市内のベッドタウン。こんなところに会社があるのか不審に感じたが、私はスーツを着て初出勤した。

 指定された場所へ行くと同じ年くらいの男性が迎えに来ていた。

「あっ、どうも。ご案内します」。そう言って連れていかれたのは、駅から徒歩5分程度のオフィスビルでもなんでもないマンション。中に入ると3LDKの間取りで、リビングには応接間のようなソファーとテーブル、その上には大量の吸い殻が入った灰皿。

 隣の部屋には、折り畳み式の長机と椅子、パソコンと固定電話が2台、ファックスが1台。大量の書類と携帯電話が置いてあった。

「あ、こっちの部屋には入らないでくださいね」

 玄関からすぐ右手の部屋には入らないでくれと指示があった。事務所には、50代くらいのおじさんが2人。2人とも笑顔は優しいが、強面の顔でスーツをビシッと着用していた。

「とりあえず仕事の内容説明するのもアレなんで見ていてください。そのほうが流れとかすぐに覚えると思います。今マニュアルとか見てもわからないと思うので」

 同年代くらいの男性に言われるがまま、私は仕事の様子を真剣に見ていた。

 固定電話が鳴る。

「お電話ありがとうございます。住友第一信販でございます」。

 同じ年くらいの男性が電話に出る。

「ご融資の件ですよね。はい、大丈夫です。預託のほう確認とれておりますので、このあと協会に融資の実行許可を頂いて、すぐに御社の口座にご融資いたしますので、確認とれましたらまたご連絡いたします。そうですね……15分くらいだと思います。失礼します」

 何も見ることも読むこともなく、流暢に話を進め電話を切る男性。

〈凄いな。仕事めちゃくちゃできるんだな〉そう感心していた。電話の男はソファーでたばこを一服し、吸い終わると、今度は電話をかけ始めた。

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