『週刊文春』2024年2月8日号で、巻頭カラーグラビア「原色美女図鑑」に8度目の登場を果たした橋本愛。「かつてない私を見せたい」――常に変わり続ける彼女の姿を、気鋭のカメラマン・小見山峻が激写。横浜のホテルで繰り広げられた非日常なフォトセッションから、誌面では紹介しきれなかった秘蔵カットをお届けする。

 撮影直後の高揚感そのままに彼女が語った、主演映画『熱のあとに』にかけた想い、そしてつい最近掴んだという「愛」の定義とは。(全2回の1回目/前編を読む

 

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「自分の言葉にしてから喋りたい」

「役者って、脚本はもちろん、テレビの収録でカンペを読んだり、広告で商品をPRする文章を話したりと『人から借りた言葉』を口にすることが多い仕事なんですよね。でも、渡された文字をただ表面的になぞっているだけでは信用されないし、中身が届かない。私も観客として覚えがありますが、『思っていないのに喋っている』のが透けて見えると萎えてしまうんです。それって本末転倒だなって。だったら時間はかかるけれど、ひとつひとつを突き詰めていって、ちゃんと自分の言葉にしてから喋りたい。表面的ではいられない性分なんでしょうね」

 だが、物事に真摯に向き合い咀嚼し、自身の言葉として届けることは、気力や体力を消費し、時に痛みも伴う。「書くのをしんどく感じる時はありませんか?」と訊ねると、「いやあ、もう、やばいですよ!」と頭を抱えた。

「書評の連載も毎回『書けない……っ、読めない……! うわぁぁぁ!……よし、ゲームしよう!!』って叫んでいます(笑)。スプラトゥーンやゼルダの伝説に逃避して……〆切も過ぎて……いよいよ差し迫った状態で、一気に読んで、書き上げるのが恒例です。読んですぐ書かないと酸化しちゃうんですよ、成分が。じっくり推敲した方が大切なものだけ残ってクリアになるんでしょうけど、混沌とした部分が削ぎ落されたぶん、迫力が沈んでしまう気がして。私は熱量とカオス重視なので、『この段落、要らなくない!?』と思いながらも、あえて残してみたりしています」

 

 苦しみながらも書き続ける原動力は、読書からのダイレクトな反応だ。

「ありがたいことに『私の読書日記』を褒めていただくことが多くて、すごく嬉しいです。映画は撮影から公開まで年単位で時間がかかりますが、週刊誌の連載はフィードバックの鮮度が舞台と似ていて、“今の自分”を肯定してもらえるんですよね。それがモチベーションでもありプレッシャーでもありますが、どうやって乗り越えて行こうかという楽しさにもなっています。毎回ちょっとずつ変わっていきたいなという企みもありますし、もがき苦しみながらめっちゃ頑張って書いているので(笑)、ぜひ読んでいただきたいです」