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「金メダルを取るまで現役続ける」波乱万丈すぎる”レジェンド”葛西紀明(51)が新たな伝説を打ち立てた

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 札幌市街が眼前に広がる大倉山ジャンプ競技場。

 黄色のジャンプスーツに身を包んだ男はB’zの「ultra soul」に乗って、3000人の観客が待つトラックに着地を決める。「レジェンド」葛西紀明(51)がまた新たな伝説を打ちたてた。

葛西紀明選手

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スーパースターが久しぶりに偉業を成し遂げる

 2月17日、18日の2日間にわたって開催された「FISスキージャンプ男子ワールドカップ(W杯)」。葛西は17日に30位に食い込み、19年3月以来となるW杯ポイントを獲得。その翌日、W杯個人最多出場のギネス記録を571試合に更新したのだ。

3季ぶりの海外大会参戦も決まった

 スポーツライターの折山淑美氏が解説する。

「年齢を重ねてパワーが減退しているものの、彼には、それをカバーできるだけの技術があります。ジャンプは陸上競技とは違って、風向きや天候といった外的要因に結果が左右されやすい。ここ数年、結果が残せなかったのは不運な面もあって、決して選手として衰えているわけではありません」

 葛西が生まれ育った北海道北部の下川町は、スーパースターの久しぶりの偉業に沸いている。

 

“波瀾万丈”な選手人生

 小学生時代のジャンプコーチである蓑谷省吾氏(66)が喜びの声を上げる。

「あの年になっても凄いなと思って応援しています。彼は小学生の頃から練習熱心で飲み込みも早かった。2つ上にいた岡部(孝信)くんのジャンプをお手本にして、家の近くにあったスキー場で朝から晩まで練習していましたよ」