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 本書はこれらの例を挙げて二階の人心掌握術の極意について、

「義理(G)と人情(N)とプレゼント(P)」

 略して“二階のGNP”と紹介している。

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 これを真面目に紹介しているからたまらない。先ごろ日本はGDPでドイツに抜かれ4位転落というニュースがあったが何も落ち込むことはない。日本には“二階のGNP”があるのだ。

『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(ブックマン社、2020年)

 しかしよく考えると二階氏を読み解くヒントがここにあるのではないか。政治資金で書籍を買い取って配りまくるというのはまさに“二階のGNP”ではないか? 共通して見えてくるのは「内輪にはやさしく、仲間になると利益がある」ことだ。

50億円は何に使った?

 この構図はもっと大きなカネにも当てはまらないか。たとえば「二階の50億」だ。政治とカネの問題をめぐり、あらためて注目されているのは公開義務がない政策活動費。これを二階氏は幹事長時代に5年で約50億円受け取っていた。

 では何に使っていたのか? 二階の「義理(G)と人情(N)とプレゼント(P)」を考えるとわかりやすい。幹事長として選挙で配りまくったのだろうか。みかんではなくカネを。

 やはり二階氏にはいろいろ聞かなきゃいけないことが多い。政策活動費のほかは「裏金」問題もそうだ。

 先週末、政倫審(衆院政治倫理審査会)がおこなわれた。しかし不記載額が大きい二階氏や安部派の幹部である萩生田光一氏の姿はなかった。巧妙だと感じたのは政倫審出席の線引きを「派閥の事務総長経験者」とすると二階氏と萩生田氏は当てはまらなくなることだ。

茶番と化した「政倫審」

 では事務総長経験者たちは何か新しいことを証言したかと言えば、従来の答えを繰り返した。二階派は事務総長の武田良太氏が出席し「二階氏は紛れもなく派閥の象徴だが、一切事務や経理に関わっていない」と述べた。では自分が何を説明したかと言えば知らないという繰り返し。