“東大王”鈴木光さんと、鈴木さんが所属する東大「瀧本ゼミ」の投資家・瀧本哲史さんの初対談。後編では、何かと生きにくい世の中をわたっていくための教養術について語っていただきました。(全2回 #1よりつづく)
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「東大法学部に入ったからには」タイプの困難
鈴木 「瀧本ゼミ」の面接で思い出すのは、「将来何になりたいの?」ということをきちんと聞かれたことです。
瀧本 東大法学部って、やっぱり官僚になりたい学生が多いんですよ。ただ、「いい政策作りたい」って希望を持って霞が関に行っても現実を前に目標を失ってしまうことも多い。だから、「東大法学部に入ったからには官僚をひたすら目指します」みたいな学生については一考の余地があると思っているんです。ある種の思考の柔軟性がないと、現実の世の中を渡っていくのは厳しい。鈴木さんは法学部の推薦入学だから、これから法学部に進むことになるわけだけど……。
鈴木 私は今、企業法務の弁護士になるために司法試験の勉強をしていて、率直な言い方をすると『東大王』のための勉強は趣味というか、息抜きなんです。たとえばビジュアルを見せられて「これは何?」みたいなクイズ対策のために世界地理や絵画の本を読むのは、リラックスする時間なんですけど、なかなか時間が取れなくて。先生には『読書は格闘技』の著書もあるように、ものすごい量の本を読んでいますよね。一体どんな読書法なんですか? どうやって時間を捻出されてるのかなって、いつも気になっているんです。
「現代の魔法使い」も通った速読スクール
瀧本 ああ、そもそも僕、本を読むのが早いんですよ。速読術を身につけているから。
鈴木 速読術。
瀧本 世の中には怪しげな速読スクールみたいなところって、いっぱいあるじゃないですか。それで、僕の父親が心理学者なんですけど、僕が中学生の時に「ほんとに速読術が身につくようなところなのか偵察してこい」って謎のミッションを出してきたんですよ(笑)。その時には良いところが見つからなかったのだけど、大学生の時にもう一度調べて、それで池袋に「クリエイト速読スクール」という学校があって、通ってみたんですけど、これが結構まともだった。ミッションですから猜疑心いっぱいで説明会に行って、「なんで」「どうして」って速読術について質問攻めにしたんですけど、割と理論的で。「現代の魔法使い」こと、落合陽一さんもここで学んでいたみたいです。