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 会社は、飛松氏の1週間の業務出張と直後の1週間の休暇を認めた。妻も疑うことなく「2週間の海外出張」に夫を送り出した。

 時を同じくして、営業局総務課の女性派遣社員が、飛松氏の1週間の休暇時期とぴったり同じ日程で休暇を取得していた。

写真はイメージ ©getty

 ワールドカップが華々しく開幕した。日本が初出場したこともあり、国内でのサッカー人気も沸騰した。

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不倫がバレた理由は…

 ある日、強豪国同士の対決をテレビ観戦していた私の目に驚くべき光景が飛び込んできた。カメラが捉えたのは、互いに耳元でささやき合いキスをしながら試合を観戦する2人の日本人。そう、飛松氏と総務課の女性派遣社員だった。この仲睦まじい光景は、地元放送局のカメラマンにとって、激しい試合の箸休めにもってこいだったのだろう。

 ほんの数秒、その光景は私の記憶に焼き付いた。そのシーンはサッカーの試合よりもはるかに私を興奮させた。

「これ、どうなるんだ……」私は、心の中にどす黒い笑いが染み渡っていくのを感じた。湧きあがる暗い喜びに、自分自身のことが怖くなったほどである。

 日本中が注目しているワールドカップである。私ばかりではなく、きっと多くの電通の同僚たちも見ているであろう。知らないのは、現地にいた2人だけなのだ。

 1週間後、2人は無事に帰国した。営業局全体が大騒ぎとなっていることも知らずに。

 どういうルートをたどったのか、この話は飛松氏の妻にまでもしっかりと届いていたようだ。「飛松氏の奥さんも激怒している」そんな噂が社内を駆けめぐった。

 1カ月後、飛松氏の結婚生活は崩壊した。飛松氏の妻は、資産家の娘だった。