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部屋に入り30分ほどすると、ドアがノックされた。酔って興味半分で待っていた私たちの前に姿を現したのは、濃い化粧をして、派手なボディコンシャスのミニのワンピースに身を包んだ3人の女性だった。本関君が手慣れた様子で彼女たちをエスコートし、笑顔で部屋に迎え入れた。きつい香水の匂いがした。
「ヨーロッパの娼婦」のような佇まい
「すまん、ちょっと用事を思い出した。悪いけど、俺はもう帰る」
そう言って、部屋を出て、逃げるように帰宅した。本関君は女性たちとの会話に夢中で、私が部屋を出たことにも気づかなかったかもしれない。
じつは私はそのときまだ童貞だった。このあと部屋で何が展開されるかはわからなかったが、万一にもこのような場で自分の操を喪うことが怖かった。女性たちは、映画で見た「ヨーロッパの娼婦」のような佇まいだったのだ。
残ったほかの内定者たちと彼女らが、その後どうなったのか、私は聞かずじまいになった。これが電通なのか。私は、大人の世界に一歩足を踏み入れた気がした。
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