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県をまたぐとなると仕組みがすべて違う

 同時に早朝開園ではない保育園に入れた場合に備えて息子を送ってくれるシッターを探すわけですが、これが一番難航しました。10社以上のシッター会社に問い合わせ、全社から「早朝でそれだけの日数に対応できる者がいない」という、ここでも人手不足を感じざるを得ない結果に絶望しました。望みをかけて待つ最後の会社の返答後、本当に途方に暮れて、鏡の中の自分に白髪を3本続けて見つけて泣きました。32歳でした。

 さらに当時は東京都内から神奈川県に通勤していたので、距離もさることながら、県をまたぐとなると仕組みがすべて違います。ランクに数字ではなくアルファベットを採用する神奈川県では「県外の人が申し込むのであればIランクからの計算になります」と言われたことを、いまだに根に持っています。IはAから何番目にあるか、さっと答えられる人って一体日本に何人いるのでしょうか。女性なら馴染みのある下着ですらもなかなか見ないアルファベットですよ。

書籍の打ち合わせをする近藤さん

 言葉どおり踏んだり蹴ったりな数か月を亡霊のように生きていたある日、紆余曲折あり保育園が決まり、いよいよ送り問題に直面。もう心が折れた状態でたまたま連絡を取っていた親友に一連のズンドコ話をこぼすと、知り合いのシッターに話してくれ、また別の親友が手を挙げてくれ、あれよあれよと友達の輪がつながり、翌日には送迎班グループが発足され担当曜日まで振り分けられていました。まさに地獄で仏、九死に一生どころか三生くらい得て大泣きしました。

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 友達は人生の財産です。自分にできることならなんだって進んでやろうと心に誓いました。