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「土下座はしていない」と主張

 そして今回「5人衆に入れなかった幹部」が裏金問題では注目される。下村博文だ。下村氏は安倍派の事務総長を務め、安倍氏亡き後の派閥の重要会合にも出席している。しかしなぜか5人衆からは外されている。森喜朗に嫌われているからだ。

 森氏は地元・石川県の北國新聞で「総理が語る」という企画に度々登場していた。昨年8月7日付では下村氏が安倍派の会長になりたいと頼みに来たと語っている。「今までのご無礼をお許しください」と土下座する下村氏に対し「君は私に無礼を働いたのか。その自覚があるなら私は絶対に許さない。帰ってくれ」と言ったと森氏はご機嫌に語っていた。これを1面トップで報じる北國新聞。

 このあと下村氏は土下座はしていないと主張し、森氏に嫌われる理由を、文科相時代に国立競技場の白紙撤回をしたことが要因だと言っている。森氏が招致に力を入れた2019年ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会に整備が間に合わず「それ以来、森氏に恨まれている」というのだ(共同通信2023年9月12日)。新国立競技場建設も森氏の都合だったことが窺える。

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「先走り」と「先細り」

 森氏に嫌われて5人衆に入れなかった男・下村博文だが、長い間安倍派の幹部であったことは変わりない。森氏や安倍派の裏金問題のことを知りすぎている可能性がある。政倫審に出席すれば注目されるが現在のところ二転三転している。

『衆院政倫審、下村氏出席見送り 自民調整つかず』(毎日新聞3月7日)

 記事の読みどころはここ。下村氏は、

《記者会見を6日に開くと報道各社に連絡したが、約1時間半後に「別の用事が入った」としてとりやめていた。》

 このあと下村氏は「X」(旧ツイッター)で

《一部報道で、私自身が政倫審出席を見送るようにとられかねない記事がありましたが、私の意思はまったく変わっておりません。》(2024年3月7日)

 と投稿している。ああ、私が追いかけている下村博文劇場そのものではないか。先走るのだが先細りになる繰り返し。そんな人物がキーマンになりかけている。「森喜朗に嫌われた男」も一応見逃せない。