昨年7月に公開された宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』が3月11日、米アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した。前作(『風立ちぬ』)の公開が2013年、その後、引退を表明するも撤回して10年ぶりに作った作品による栄誉。宮﨑監督が同賞を受賞するのは2003年の『千と千尋の神隠し』以来2回目となる。
受賞の要因は“黙示録”と“10年ぶり”
小金井市のスタジオジブリに早朝から集まった報道陣に向け、鈴木敏夫プロデューサーが会見を開いた。拍手で迎えられた鈴木氏は、宮﨑監督の様子について、
「さっきまで(電話で)しゃべってたんですけど、『日本男児として嬉しい顔を見せちゃいけない』と言いつつ、零れてましたね、喜びが(笑)。心の底から喜んでましたね」
「僕はつい『おめでとうございます』と言ってしまったんですが、(監督から)『お互い様です』と言われてしまいました(笑)」
と、監督から“共同作業”による結果であることの念を押されたそう。
今回、受賞に至った要因については、
「じつは日本のお客さんよりもアメリカのお客さんの方がすんなり受け容れやすかったと思うんですよ。内容がある種、聖書なんですよ。公開中はあんまり言わないようにしていましたけど。いわゆる黙示録だと思ってたんです。それはアメリカの人には受け容れやすかったんじゃないかなと思ってます」
と分析する。また、配信によってジブリ作品がアメリカでさらに観られるようになった状況から、
「10年ぶりというのも大きかった気がしますね。もう新しい作品はないだろうと思っていたら出てきたわけで。それで『この人は面白い』と、観てくれたというのはあるんじゃないでしょうか」