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ご意見番的な人物をスタジオに置く意味

 もちろん、水曜日に説を唱える番組の秀逸さはこの点に限るものではありません。Q&Aという枠組みで言えば、この番組にはもう1つ大きなQ&Aが仕込まれています。説検証VTRが終盤に差し掛かると、視聴者は飽き始めたり、あるいは結論が想像できてしまったりします。

 そのタイミングで、視聴者の心には別のQが立ち上がり始めます。「しかめ面でVTRを見ているスタジオの大物は、このVTR(説)に対して何を言うだろう」——視聴者はそこから、VTR終わりのスタジオコメントを聞くために、やはり画面の前に座り続けるのです。この人物が最近流行り始めた人気者ではいけません。

 ご意見番的な立ち位置を確保している人物だからこそ、その発言を待ちたいと思うのです。「あの人はこれについてなんて言うんだろう」と多くの人に思ってもらえる人をスタジオに置いておくのにはそういう意味があります。放送上の使用尺を考えれば見合わないほど高額な出演料を払っているように思えても、十分な価値があると判断されるのにはそういう理由があるのです。

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(写真=徳間書店提供)

タイトルがQとして不足であれば、副題をつける

 同様の構造は多くの番組で採用されています。いわば、Q&Aの入れ子構造です。番組全体を貫く大きなQ&Aの中に小さなQ&Aをいくつも紛れ込ませていく。ザッピング(チャンネル変更)という危機に毎秒晒(さら)されているテレビ番組においては、この構造をいかに強固に、絶え間なく敷設できるかが何より重要だとも言えるでしょう。

 情報番組でも同様です。「予約殺到! 3年待ちの食パン! ヒットの理由とは?」なんてVTRは徹頭徹尾(てっとうてつび)Q&Aです。ビジネス成功の秘訣を知りたいのは人間の性です。ドキュメンタリー番組では、特にタイトルで同じことが行われています。