“どうやって我々は生きていくのか”という問いになれば
一方、本作が俳優復帰作となる伊勢谷友介はまず流暢な英語で挨拶。続けて日本語で、自身の役柄について「溝口は、社会の仕組みやルールにがんじがらめになったまま流されるように生きてきた男。劇中で10回殺されるという仕組みに、ただ翻弄されるだけの彼のキャラクターは、今の日本人を体現していると思う」と分析。「これがアンチテーゼとなって、死刑というものをどう捉えるか主体的に考える機会になってほしいし、そもそもどうやって我々は生きていくのかという問いになってくれればいいな、と映画が完成してからそういうテーマがみえてきました」とコメントした。
さらに、「媚びた芝居をしない中で10回も殺されていくのは、やっぱり怖かった。国としても死刑という制度があることがどれだけ恐怖なのかということを、この映画に出演したことでより感じました。有史以来、何か罰を与えて世の中が良くなったことって、まだ一度もないと思うんですよね。そういうルールに対してどう考えるのか、その良いきっかけになってくれたらと考えるようになりました」と力を込めた。
一方、作品制作に対する不安を問われた荒木監督は、「毎日が不安です」とつぶやき、会場に笑いが起こった。「映画を撮るということは、うまくいくかどうかわからないもの。逆に、こうすれば絶対うまく行くということはやらないようにしているので、ものすごく怖いなと思いながら、怖がっている自分を見て楽しむという毎日ですね」とコメントし、伊勢谷から「変態ですね(笑)」と突っ込まれていた。
『ペナルティループ』は3月22日(金)より全国公開。