憧れの専業主婦、満足度は?
子育てが一段落してから働く女性も増えているが、ニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員によれば、大卒女性が2度の出産を経て正社員として働き続けるとして、育休や時短を利用しても生涯所得は2億円を超えるが、第1子出産後に退職し、第2子の子育てが落ち着いてからパートで再就職した場合の生涯所得は6000万円にとどまる(日経新聞2月23日朝刊)。1億4000万円もの差が生じる理由は、日本では専業主婦の再就職はパートや非正規の仕事しかないからだ。
もちろん、「夫や子どもへの愛情は2億円を超える!」という女性はいるだろう。日本では若い女性の3割が「将来は専業主婦になりたい」と思っているというデータもある。だがその一方で、家庭生活に満足している女性の割合を国際比較すると、共働きが当たり前のアメリカでは67%、イギリスでは72%の女性が「満足」とこたえているのに、日本はたった46%だ(スーザン・D・ハロウェイ『少子化時代の「良妻賢母」』)。
若い女性の多くが専業主婦に憧れ、その夢を実現したにもかかわらず、奇妙なことに彼女たちの幸福度はものすごく低い。これが「好きで専業主婦をやってるわけじゃない」という批判が出てくる理由だろう。
意外だったのは、女性向けのメディアだけではなく、50代の男性向けの雑誌や若いビジネスパーソンのためのメディアからも取材を受けたことだ。
専業主婦の家庭には、家事・育児を妻に丸投げして会社に滅私奉公する夫がいる。そんな男たちはいま、定年後の人生に大きな経済的不安を抱えている。フィナンシャルプランナーは「安心して老後を過ごすには持ち家と5000万円の貯金が必要」などというが、そんな資産をもっているひとは多くないからだ。
50代のサラリーマンがどれほど必死に働いても、これから大きく収入を増やすのはきわめて困難だ。しかしこの問題は、ものすごくシンプルな方法で解決できる。妻に働いてもらえば、年収200万円でも10年で2000万円、20年なら4000万円だ。