刑務所のコッペパンは給食の2個分
重量にすると400グラム近く、ずっしりした量感で、これが主菜。主食はコッペパンで、男子刑務所ではかなり大きめ。A食の場合200グラムほどあり、これは学校給食のコッペパン2個分に相当する。
どんぶりぜんざいの食べ方を刑務所特有のテーブルマナーで解説しよう。
刑務所の食事時間は短い。10分程度で食べ終わらなければならず、ゆっくりと味わう時間などない。パンにぜんざいを挟んで食べる者、ぜんざいの中にマーガリンやちぎったパンをすべて入れて混ぜ合わせて食べる者など、正直いってお行儀がよろしくない。
しかし、彼らはいかに効率よく食べるか、いかにいろんな味変を楽しむかを追求した結果、その食べ方に落ち着いたのである。
ぜんざい、マーガリン、牛乳は必ずセット
あるとき、ぜんざいのメニューにマーガリンをつけていなかった。
「先生、ぜんざいにマーガリンはテッパンですよ! 絶対つけてください!」
後日、受刑者たちから懇願されて以来、ぜんざい、マーガリン、牛乳は必ずセットで出すようにしている。
甘味たっぷりで幸せを感じられる、このメニューを月2回は出してほしいと要望されるが、管理栄養士としてのささやかな抵抗から、当所では月1回を基本としている。
ぜんざいに限らず、パン食の日はシチューやサラダなどと組み合わせられる惣菜パン系と、カスタードクリームなどを挟む菓子パン系の両方が楽しめるようにメニューを組み立てている。
決まった食事しか出されないため、自分たちなりに混ぜたり挟んだり、味の選択肢を増やして楽しみたいのだ。
受刑者が発見した「口中調味」
あるとき、こんなことを言われた。
「先生! スライスチーズとブルーベリージャムを一緒に食べると、レアチーズケーキの味になるんですよ!」
「なに? それ? すごい発見じゃん! マーマレードでもイケそうじゃない?」
「いいっスね! 目をつぶって食べるといいんっス」