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なぜ突出してアメリカに近い立場を取ったのか

元東大生B 今の安倍政権は日米同盟を非常に重視していて、かなり小泉時代の政策を受け継いでいるように見えます。小泉総理は2001年9月11日の同時多発テロの直後に非常に早くアメリカへの支持を表明した。イラク戦争の時にも突出してアメリカに近い立場を取った。当時、どういうお考えを持っていらっしゃったんでしょうか。

昨年9月、福井県内で拉致被害者の地村保志さんと再会した ©常井健一

小泉 それは、日米同盟が最重要という考え。今でも変わらない。「日米同盟の関係を弱くして、他の国と仲良くしよう」というのは、国際社会の中では通じない。

 中国のことを信用できますか。中国は尖閣諸島を「核心的利益に属する」と言っているんだよ。日米関係を悪くしてまで、中国と仲良くしようとしたって、できるわけがないでしょう。ロシアとの間にも北方領土問題がある。

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 アメリカとは戦争したけれども、沖縄を含め日本の領土を返還してくれた。信頼に足る同盟国なんだよ。緊密な関係を維持するのは当然なんだ。アメリカとの関係を弱くすれば、他の国と仲良くできるなんていう考えはしないほうがいい。日米関係が緊密であればあるほど、中国ともロシアとも仲良くできる。

同盟国の何たるかを知らない人が非難している

 イラク戦争。あれはイラクのフセイン政権が「大量破壊兵器はないから、どうぞ査察してください」と言っていれば、起こっていなかった。何であの時、国連が決議したのにフセインは拒否したのか。そのほうが責められるべきなのに、評論家たちは全然責めない。アメリカが攻撃したことは責めている。

キャンプ・デービッドにてブッシュ大統領と会談 (駐日アメリカ大使館ホームページより)

 あの時、ある大物政治家が、「支持しないで、『理解する』にとどめておけ」と言ってきたよ。名前は言わないでおくけど、その人も同盟国がどういうものかわかってない。アメリカは9.11で初めて本土を攻撃されて、3000人以上が亡くなった。いつまたテロリストが襲ってくるかわからない。

 当時、イラクはテロリストを支援している、大量破壊兵器を持っているのではないかと疑われていた。なのに、イラクは査察に応じない。同盟国が一番困っている時に支持しないで、同盟国なんて言えるかよ。“A friend in need is a friend indeed”、「まさかの時の友こそ真の友」なんだ。個人同士の関係だけじゃない、国家間でも同じことが言えるんだ。同盟国の何たるかを知らない人が非難している。