コロナ禍でアルバイトができなくなり、経済的な打撃を受けた大学生のなかには、生活のために体を売る選択をした女子大生も少なくないという。彼女たちは、なぜ風俗嬢となったのだろう。そして、どんな厳しい状況に置かれているのだろうか?
ここでは、ノンフィクションライターの中村淳彦氏が、女子大生の貧困と性産業の関係に迫った書籍『ルポ 女子大生風俗嬢』(宝島SUGOI文庫)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
◆◆◆
新型コロナで死に体の下層風俗嬢
緊急事態宣言が続き、大塚のピンクサロンも、20時までの時短営業だった。20時になるとピンサロを含む、すべての店は電気を消して閉店準備となる。ピンサロ街の方向から女性が続々と駅に向かう。おそらく仕事を終えたピンサロ嬢たちだ。彼女たちの疲れた後ろ姿は、もの悲しかった。
20時15分頃。大塚駅前にピンサロの仕事を終えた加藤恭子さん(仮名/21歳)がやってきた。九州出身、福祉系大学3年生だ。学費と生活費のために大学1年からピンサロや激安デリヘルで働き、今も大学生をしながら風俗のダブルワークを続ける。自宅は西武線沿線で家賃5万5000円、日本学生支援機構の第二種奨学金を月8万円借りている。
大塚駅前の店は、どこも開いていない。仕方ないので、反対側の南口駅前で話を聞くことにした。肌寒いので何本か缶コーヒーを買う。
「ピンサロは今、12時~20時の営業でシフト制。いつもは16時からの遅番なので4時間しか働けない。コロナでお客さんは半分くらいに減って、私は大丈夫だったけど、みんな出勤制限がかかったり、お客さんがいなかったら早退させられたりしてる。店はそういう人件費削減をしていますね」