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どうしようかと考えた末に、自宅でだらっとしているときの素の自分に近しいトーンで、マイク乗りのいい声ではない音をわざと使って吹き込んでみたんです。いつもより覇気のない声で。それでオーディションに通ったわけですが、実際に本編の収録でも、なるべく力を抜いていくよう心がけました。そういう意味では、いつもの収録とはちょっと違っていましたね」
「こういう声を使いたい」という欲望をどうコントロールするか
カガリは周囲で事件が頻発しても、あまり感情を表に出さない。何事にも驚かず、淡々と地下世界の冒険に乗り出す。
「人間がその場に息づいているように、自分がその役として生きることが理想なのでしょうが、演じているうちに自分の中でこういう声を使いたいという色気が出てきてしまうことがあります。そういう欲望をどうコントロールして、カガリの生き方にマッチさせていくかを考えました。
また、大冒険の末に終盤で、それまで温度が低かったカガリがはじめて感情をあらわにするシーンがありますが、一転してどれくらい感情をこめていいのか、手探りでした。難しかったけど、楽しかったですね。
スクリーンを見ているだけで楽しい、非日常を体感できる作品になったと思います」