当代きっての人気声優のひとり佐倉綾音が主演作『クラメルカガリ』で演じたのは、地下迷宮の地図を作る少女・カガリ。淡々として感情を見せないカガリを、「自宅でだらっとしているときの素の自分」のトーンで演じたという。
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「ぶら下がっている洋服に向かってしゃべっています(笑)」
「最近はテープ・オーディションの録音を自宅のウォークイン・クローゼットでやっているんです。アーティストのAdoさんがそうやって歌を自宅録音していると知って始めてみたのですが、服に音が吸収されるのでうまく録音できるんですね。クローゼットに机と録音機器とパソコンを持ち込んで、まわりにぶら下がっている洋服に向かってしゃべっています(笑)。『クラメルカガリ』のオーディション・テープもクローゼットでつくりました」
スチームパンク的な世界観の『クラメルカガリ』にあわせた和装で登場した佐倉綾音は、オーディションを経て本作に出演。
「最初に資料を見たときは、カガリはタレ目の印象が強く、おっとりした子かなと思ったんです。でも資料には、“不思議な子”という以上の情報がない。
普段、演じるキャラクターを考えるときに、『心に何を隠し持っているのか』『生きる目的や信念は何なのか』といったところを手がかりにするのですが、カガリのセリフからはそれがまったく読み取れませんでした。