英国の名門パブリックスクール卒業者が伝授する「正しい本の読み方」とは――。ジョー・ノーマン氏は、英国最古の名門パブリックスクール(中高一貫校)であるウィンチェスター・カレッジで学び、オックスフォード大学に進学。現在は英国名門パブリックスクール専門の受験教師として活躍している。ここではノーマン氏の新刊『英国エリート名門校が教える最高の教養』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

日本人が見落としがちな「正しい本の読み方」とは? 写真はイメージ ©getty

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 わたしが勧めたいのは、いいと思うものを読んでみること。

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 これはいいかもという本が一冊もなければ、どんなリストも最初は隅々までチェックする必要はない。読みたいと思う本が見つかれば買ってみよう。あるいはありがたいことに、ほかの人に買ってもらえることもある。近くの図書館で借りることもできる。

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 本はすべて買って読む必要はないが、わたしは興味がある本を目にすると、図書館では借りずに買ってしまう。というのは、わたしは本のページを折ったり、何か書き込んだりすることがよくあるからだ。図書館の本にそんなことをしても今は罰金を科されるくらいですむが、1960年代に劇作家のジョー・オートンとパートナーのケネス・ハリウェルは、イズリントン公立図書館の本数冊に(おかしな)落書きをしたとして収監された。

読書は好き勝手にするもの

 本は何時間も読まなければならないというものではない。読書は走力を競いあうようなものではないのだ。慈善行為でもない。誰かのために本を読む必要もない。読書は完全に自分だけのものだし、そうでなくてはならない。ひとり好き勝手に行うものだ。

 毎日、毎週末、就寝前など、好きな時に、読みたいと思うものを、自分のペースで読んでみよう。

『パワー』や『ハリー・ポッター』を読んでみるのもいいだろう。常に心に留めておいてほしいが、ほかにも本はあるし、昔書かれたものの中には何冊か(はっきり言えば、たくさん)すぐれたものがある。

 いつも本を速く読もうとする人は、詩篇や古典を少しゆっくりと味わってみるといいかもしれない。その場合、理解力を磨く必要があるだろう。十分な理解力が伴わないと、その良さがよくわからない。ストーリー(物語)も話の流れを追うだけではない。どちらが速く最後のページにたどり着くか、誰かと競いあうようなものではないのだ。大切なのは、ほかの人の気持ちになって(トールキンの作品を読めば「ホビット」の気持ちになって)過ごしてみることだ。