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勤務実態のない女性(51)に2000万の給与、宝塚元スターの親族企業に1億円…女子医大についに入った“ガサ入れ”は岩本理事長に届くか

2024/04/05
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 東京女子医科大学の女帝・岩本絹子理事長(77)をめぐる「疑惑のカネ」に、捜査のメスが入った――。

 3月29日、警視庁捜査二課は、女子医大の理事長室がある建物や岩本氏の自宅など、関係先の10カ所以上を一斉に家宅捜索した。

 容疑は、女子医大の同窓会組織「至誠会」の元事務長の男性(55)が、勤務実態がない元職員の女性(51)に対して約2000万円の給与を支払った、特別背任(一般社団法人法違反)である。女性は約10年前から岩本氏の秘書を務め、元事務長と共に忠実な側近だった。

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贔屓の宝塚元トップスターの親族企業と1億円超の不可解な契約

 元検事の落合洋司弁護士は次のように解説する。

「知能犯事件は、容疑が確実な『入口事件』から着手して、重要な関係者から証言を引き出し、証拠を固めます。今回が『入口事件』だとすると、警視庁は先にある大きな金額の事件を本丸と考えているでしょう」

岩本理事長の自宅から証拠資料を運び出す捜査員

 本丸は岩本氏と見て間違いないだろう。週刊文春では2022年4月、岩本氏が贔屓にする宝塚歌劇団元トップスターの親族企業と、女子医大が1億円超の不可解な契約を結んでいたことをスクープした。この契約は、至誠会から報酬を得ている先の側近2人が、元宝塚女優の親族企業スタッフとして働いたと称して、女子医大に1億円超を支払わせていたものだ。

 報道を受けて、女子医大OG(卒業生)有志らが、去年3月に岩本氏を背任容疑で警視庁に刑事告発した。これが今回の家宅捜索に繋がっている。