膝の負担が減るだけではない、減量のメリット
ひざの痛みをとるためには、からだの正しい使い方を知っていただいて、おかしい場合は正してもらい、がんばりすぎない範囲で筋肉を鍛えてよみがえらせる。それと同時に体重も減らしてあげたら、ひざへの負担は軽くなって、ひざの痛みのない、一生歩けるからだへと大きく前進できる、ということです。
しかも減量はひざの負担が減るという特典だけでなく、長いこと患った腰痛から解放されたり、糖尿病も薬なしで治るということも起こります。個人差はありますが、原因を正すという取り組みは、手術以上のうれしい奇跡を起こすのです。
実際、僕のチームでは、この「体重5kg減らし大作戦」で、全体の3割の患者さんが、手術をしなくていい状態が続いています。2011年に調べた年間データでは、ひざを切らずに治す僕たちの方法で、手術しかないと訪れた患者さん全体の46%が痛みがなくなり、または軽減され、手術せずに自分の足で歩けるようになっています。その人たちを含む「全体の30%」の人は手術をせず、その後数年間、診察室にいらっしゃらなくなりました。
体重が軽ければ軽いほど、ひざにかかってくる負担も軽くなる。だから、一生自分の足で歩きたいなら、使い方を正しくすると同時に、体重を軽くする。
取り組むうえで大事なことは「むずかしく考えすぎず、すぐ始めること」だと思います。
「体重」と同時に、「体脂肪」や「筋肉量」を測れる機械もありますが、減量に取り組む際、私はひとまず他の測定は無視していいと思っています。まずは「体重」の推移に注目し、からだを軽くすることに努めることが第一歩です。
「減量なんて頑張れない」という人には……
目標とする体重は、標準体重です。
標準体重は、身長(単位:メートル)×身長×22で求めることができます。たとえば身長が140cmの人なら、1・4×1・4×22=約43kg、150cmの人なら49・5kg、160cmの人なら約56kg、170cmの人なら約63kgです。期限はどんな人もまず「3か月」です。
「3か月もがんばれない!」「5kgも減らせない!」
そんな声が聞こえてきそうですし、実際、説明会でこのことをお話しすると、皆さんの顔がくもります(笑)。
「せんせ~私にはムリ!」とおっしゃる方もいますが、「ムリ!」と決めつけることは、自分の能力をブロックすることで、とってももったいないこと。僕は、意識こそからだを動かしている大切なものだと思っています。意識が「できる」「そうなる」に向いたら、できないことなんて本当はないのです。