文春オンライン

川勝平太静岡県知事が辞任会見で「本当に怒っていた相手」とは? 分析した臨床心理士が気づいた“一貫したこだわり”

2024/04/06
note

 記者が「切り取りだと思わない」と川勝知事の言葉を否定すると、口を固く結んで両方の眉毛をぐっと上げ、不快感を露わにした。

 聞いた人の受取り方が悪いのかと問われた時は、体を左右に揺らし「そうは申しておりません」と否定。目をギュっとつぶったり、一瞬怯んだような表情を見せる場面もあり、理解されないことに焦ったのか「あのー」「えー」というつなぎの言葉が増え、声も上ずっていた。喉が詰まって声が出にくくなるのは、ストレスと緊張の影響だろう。

©時事通信社

 県庁職員を持ち上げるために農家や物づくりの人々を下げた話し方についても、「それは違う」と差別であることは否定した。

ADVERTISEMENT

メディアへの不満を話し出すと早口になり、声が裏返っていく

 しかし人間は、普段考えたことがない、思ったことがないような事は口にしないものだ。日頃から考えているからこそ、無意識のうちに本心や本音としてぽろっと口から出てしまう。失言で度々問題になる麻生太郎氏もこのタイプだ。

 さらに、自身の発言を責められるとなんとか責任転嫁しようとする態度も気になった。今回はそれを「切り取り」「メディアのハラスメント」と主張。メディアへの不満を話し出すと早口になり、声が裏返っていく。内心かなりの憤りを感じているように見える。

「思いもかけないところから」「言葉のあや」「不十分な表現」「意図せざる形」の悪意のない発言を、大仰に切り取って報じたメディアが悪いという論法だ。

 謝罪の場なのにいつのまにか自分を被害者側に置き、それを押し通すために口調がヒートアップする。謝罪会見で時おり見られるこの現象は、謝ることで自分が弱くなったと感じてしまうのが許せないという、プライドの高い人、権力を持つ人などに多いパターンだ。

関連記事