1ページ目から読む
4/6ページ目

「理恵ちゃんが頑張って出した答えやから、後悔しないように、一緒に頑張ろう」

小西さんは仕事を休み、祖母と一緒に過ごした日々を思い返しながら看病した。その5日目に、祖母は息を引き取った。

「女の子と、遊べばいいのに」

祖母が亡くなり、「ひとりぼっちになってしまった」と、心細さを感じた小西さん。この先の支えがなくなってしまった、と。それでも生きていくためには働かなければならない。

ADVERTISEMENT

そこで浮かんだのが、人生で一番どん底にいた自分を支えてくれた訪問看護師の姿だ。「福祉の業界に進むことしか考えられない」と考えた小西さんは初任者研修の資格が取れる福祉の学校に入った。祖母の介護経験を胸に、高齢者介護に携わろうと思っていた小西さんに、そこで大きな転機が訪れた。

「学校でできた友人が障がい者のグループホームに見学に行くと言うので、私もついて行くことにしたんです。そこにいた、40代の統合失調症の男性が『何をしても楽しくない』『生きる喜びを見つけるのが本当に難しい』と話しているのを聞いて」

小西さんは、思った。

「女の子と、遊べばいいのに」

現状には、どのようなサービスがあるのだろう。気になって調べたところ、障がい者の性には、ケアやサポートがほぼないことを知り驚いた。

ここからの、小西さんのフットワークは軽やかだった。まず大阪に一つだけあった、障がい者専門風俗店を探し当て、働くことにしたのだ。

実母が障がい者の息子とセックスしている現実

「働き始めてみるとお客さまは身体障害のある方で、自分でお店の情報を調べたり、予約が取れたりできる方ばかり。それが難しい知的障がいのある方はどうするんだろう。これ、ちゃんと考えないといけないことなんじゃないかなと」

ないならば自分がそのサービスを立ち上げるしかないのでは? でも――。悩んだ小西さんは福祉の学校でお世話になっていた教員に相談することにした。怒られるのではないかと恐る恐る自分の感じたことを話したところ、「本当に大事なことだから頑張ってほしい」とむしろ背中を押されたという。