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西村 それも19、20歳ぐらいからです。ある時鏡をみたら「やばい、キてるわ」って。それで薄毛の部分を隠すために「スーパーマリオ」のキラーみたいな、後頭部から髪を前に持ってくるようなヤバい髪型をしていたんです。

 AGAの薄毛治療院にも通ったんですけれど、先生と合わなくて行かなくなっちゃって。ちょうどその時、コンビニの夜勤バイトをしている友人が、店長から「毛量が多すぎるから切れ」って怒られたことがあったんです。

 それで友達が「これがあれば切らなくていいや」と、ウィッグを買ったんですよ。その姿が思ったより自然だったんで、僕も「これで良いや」と思って。ウィッグを2、3個買ってメイクをしてつけたら、結構馴染んだんです。それで「薄毛を治さなくても、ウィッグかぶればなんとかなるし良いかな」みたいなノリですかね。

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歳をとればどうせハゲる

──そこまで薄毛で悩んだり、嫌な思いをした、というわけではなかったんですか?

西村 ウィッグとメイクを始める前まではめちゃくちゃあったと思います。ニキビもやばいし、ハゲてるし、もう人生終わりだ、みたいな。でも、その半年後ぐらいに友達がウィッグ被っているのを見て「これでいいや」って思ってからは特に悩んでないですね。解決策があるんだったら悩むことでもないな、と。

 歳をとっちゃえばどうせハゲるし、若いうちだけでもなんとかなっていれば別に良いかな、と。ウィッグだとバレてもバレなくても「自分の見た目が良い」って自分で思えていれば、別に良いかな、と思っています。

──ウィッグをつけるのは、お洋服を着たりメガネを変えたりするのと同じ感覚なんでしょうか?

西村 そうですね。自分の中では同じです。今日どれにしようかな、ぐらい。

©三宅史郎/文藝春秋

──メイクやウィッグをつけ始めて、周囲の友人からは何か反応がありましたか?

西村 特になにもないですね。仲良い子はその話題に触れることすらないくらい。普通に何事もないような感じで「行こうぜ」みたいな。友人に恵まれていたのかもしれないですね。

──ご家族の反応はどうでしたか?