「お金をもらって仕事でやるのと同等のクオリティできっちり取り組み、睡眠を削ってまでやる。これは外国の人間からしたら、まったく信じられないことです」
駐日ジョージア大使で親日家のティムラズ・レジャバ氏が、テレビ番組『欽ちゃんの仮装大賞』を見て気づいた「日本人の素晴らしさ」とは? 新刊『日本再発見』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
『欽ちゃんの仮装大賞』のために努力できる日本人はすごい
私は年末年始のテレビ番組が好きなのですが、『欽ちゃんの仮装大賞』では芸人やタレントではない一般の素人の方々がとんでもない発想で力を合わせて出し物を披露しますよね。仮装を発表したあとのインタビューでは「会社が終わったあとに毎日みんなで練習して……良いものが作れたなって」などと言って声を詰まらせて涙を流したりします。
『仮装大賞』は入賞すれば賞金がもらえますが、ほとんどの参加者はお金目当てに努力しているのではなく、何かを目標にして一丸となってがんばること自体に価値を見いだしていると思います。趣味に情熱を注ぎ、あれだけの正確な表現ができる日本人はすごいとしか言いようがありません。
私や妻が参加している子供のPTAや保育園の保護者会もそうです。みなさん本職ではなく、学校や保育園からお金をもらっていないどころか頼まれてもいないことにすら、ものすごい時間をかけて議論をし、超細かいところまで丁寧にやっています。うちの妻が入っている保護者会LINEは、1日中通知が止まりません。
私もキッコーマン時代に任意参加のクラブに入ってみた際に、参加者が議題別に書類やプレゼン資料を作って賛成反対の決議を取って、お金の運用についての話し合いをし……と熱心で、「ボランティアなのに、よくここまでしっかりやるな」と驚かされました。日本人は趣味やプライベートの団体に対して、お金をもらって仕事でやるのと同等のクオリティできっちり取り組み、睡眠を削ってまでやる。これは外国の人間からしたら、まったく信じられないことです。