「一般の人たちがこれほどまじめでなければ、日本の経済的な繁栄は成し得なかったでしょう。日本は根幹がしっかりしているのです」

 駐日ジョージア大使で、日本企業にも務めたことがあるティムラズ・レジャバ氏が語る「日本人の素晴らしいところ」とは? 新刊『日本再発見』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

駐日ジョージア大使が驚いた「日本人の性質」とは? 写真はイメージ ©getty

「普通の人」のレベルが普通ではない国・日本

 日本人は社会構造的に、富裕層でも貧困層でもない「中間層」が厚いと言われています。これは非常に立派なことです。もちろん日本の政治家もみなさん力を尽くしてがんばっておられますけれども、一生懸命に働いている、まじめでウソをつかず、プロフェッショナル精神を持つ中間層の人たちこそがもっとも尊い存在だと思います。

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 そういう人たちが「普通の人」として当たり前にいて日本社会を支えていますが、これはほかの国ではまったく普通でも当たり前でもないことなのです。

 たとえば私のところに取材に来られる記者の方々は、みなさん事前にジョージアのことをよく調べ、私の過去の発言も調べた上で、深いコメントをもらえるよう準備してから取材に臨んできます。ジョージアにも優秀な記者はたくさんいますが、あまり下調べせずに初歩的なことから尋ねてくる記者も正直少なくありません。

 そういう記者職の人たちは頭が良くて高学歴な人が多いし、ちゃんとしていて当たり前ではないかと思うかもしれません。しかし、日本では、メディアで取り上げられることもなければ、一般的にステータスがあるとはみなされていないような仕事に就いていらっしゃる人でも仕事に手を抜きません。「そんなにバカ真面目にやらなくてもいいだろう」という、社会で注目されないようなところでも高いプロ意識を持っている。どんな職種、役職であっても、です。これは日本特有のことだと思います。