国の救済制度に当初予算の約110倍の額が
——2つ目の質問は、「予防接種健康被害救済制度」が適用される規模についてです。「厚労省は令和5年度の補正予算で、397億7000万円を予防接種健康被害救済制度に充てました。ワクチン後遺症被害はどれぐらい広がるのでしょうか。そして、収束はできるのでしょうか」と質問が来ています。
視聴者の方の中には、この救済制度をご存じない方もいると思いますが、厚労省からワクチンの接種による健康被害と認められた方には給付金が支払われる制度です。コロナワクチン接種後に健康被害が起きた場合、お医者さんから「こういう有害事象が起きましたよ」という診断書をもらって、市町村の窓口を通じて国に申請ができます。
この制度について、補正予算では当初予算の約110倍の額がつきました。質問した方は、健康被害の広がりを予算拡大に感じているのだと思います。
福島 非常に重要な質問ですね。現在、約2000人の死亡報告が厚労省に上がっていますが、亡くなってはいないけれども健康被害を受けた方もおられます。このような方を含めると、被害認定の数はうなぎ登りに増えていきます。死亡された方の数をもとに試算しても、金額は800億円を超えていますが、健康被害を訴えている方が今後認定されていくことを考えると、総額は軽く1000億円を超えるでしょう。
——ワクチン被害は接種直後だけではなく、後々になってから症状が現れる方もおられると思います。ワクチン被害は、どれぐらいの時間が経ってから発症するものなのでしょうか?
福島 それには私も頭を悩ませています。2024年4月には、高知大学の佐野栄紀特任教授の研究チームが論文を出しましたが、これによると新型コロナウイルスのワクチンを接種した人の「汗疹」を調べると、ワクチン接種後から1年以上経っているにもかかわらず、mRNAワクチン由来のスパイクタンパク質が見つかったんですね。
そもそも新型コロナウイルスワクチンとは、ウイルスのスパイクタンパク質の“設計図”にあたるmRNAを脂質に包んだようなものです。これを接種すると、細胞が“設計図”をもとにスパイクタンパク質を作り出すので、新型コロナウイルスに対する抗体が作られます。
しかし、このスパイクタンパク質は非常にたちの悪いものでもあります。スパイクタンパク質を持つ細胞が抗体から攻撃されることにより死んでしまうので、自己免疫疾患が引き起こされるからです。
——当初、厚労省の説明では「数時間から数日でワクチン由来のスパイクタンパク質は体内から消えていく」というような説明だったと思います。ところが、佐野特任教授たちの論文によると、1年経ってもワクチン由来のスパイクタンパク質が体内に残っていた。
福島 これは重大な発見です。1年以上経ってもスパイクタンパク質があるということは「細胞が今もスパイクタンパク質を作っているんじゃないか?」と疑わざるを得ません。接種されたmRNAがDNAに組み込まれている可能性があるので、スパイクタンパク質がずーっと体内に残ることを懸念する学者は以前から大勢います。
スパイクタンパク質の「神経毒性」
——3つ目の質問は「痺れ」についてです。「ワクチンを3回接種後の2022年11月末、新型コロナウイルスに罹患しました。さらに1カ月後、突然、血圧が200を超えて救急搬送されました。その後、唇とその周辺が麻痺したまま改善しません。医師によると、パーキンソン病の初期段階かもしれないということですが確定できず、私からワクチン後遺症の症例にある顔面麻痺ではないかと訊ねました。しかし、明確な返事はいただけませんでした。これは新型コロナウイルスの後遺症と言うよりは、ワクチン後遺症の可能性があるのではないでしょうか。そうだとすれば、どうすればよいでしょうか」という質問です。
福島 まずは、神経内科医といった専門医にきちんと診断してもらう必要がありますね。一口に「痺れ」と言いますが、質問された方の場合、感覚が麻痺している。あるいは、運動機能が麻痺しているかもしれない。
これは即断できる問題ではないのですが、ただし、スパイクタンパク質が神経系を侵しうるとははっきり言うことができます。スパイクタンパク質には神経毒性があるからです。
それから、質問された方は血圧が急に上がったとのことですが、これも既に報告されています。新型コロナウイルスワクチンが循環器系にもたらす緊急事態については、早々に総説論文が出ているぐらいに多数の報告例があります。私の友人の娘さんでも、ワクチンを打ってからというもの、仕事ができなくなるほど血圧が突発的に上がるようになった方がいます。
——ワクチン後遺症が新型コロナウイルスに罹患後、酷い形で発症したというような可能性を、この質問者さんについて考えても良いのでしょうか。
福島 その可能性を含めて検討する必要があるわけです。今は「コロナ後遺症」ということにも多くの方が苦しんでおられる。これに関しては、令和3年に国会への請願が行われました。一方で、「ワクチン後遺症」としか言えないような患者さんも大勢いらっしゃるので、「全国有志医師の会」の先生方が頑張っておられます。
研究体制をきちんとしないとダメだと、再三再四、私は厚労省に言ってきましたよ。内閣府の首相補佐官と話したり厚労大臣にも要望書を出したりして、「プロを集めた研究体制を作らないとダメですよ」と伝えてきたわけです。
特に、新型コロナウイルスは呼吸器に来るわけですから、感染症の専門家だけじゃなくて、呼吸器内科の意見が必要です。特に、間質性肺炎の専門家が望ましいと思います。また、血栓が起きるのだから、血液内科の先生も必要ですし、血液がんに詳しいがんの専門医も重要です。
スパイクタンパク質は、神経以外にも様々な部位に毒性があります。また、細胞がスパイクタンパク質を作るようになれば、抗体に攻撃されるので自己免疫疾患も引き起こされます。このように様々な可能性が考えられるのですから、病気を正面から見つめて研究を推進していかないとダメだと思います。
——いただいた質問の中には、痺れに関して気になる内容のものがありました。「2回目のワクチンを接種してから、両足先が痺れており、今は歩けないほど酷い状態です。ネット販売している第三類医薬品市販薬を真面目に飲んでいますが、まったく効きません」という声を男性の方からいただいています。
「新型コロナウイルスの後遺症かもしれない」と、健康不安を抱えておられる方が、市販薬やサプリの自己処方だったり、民間療法だったりに頼ることについて、福島先生の考えを教えてください。
福島 生兵法は怪我のもとです。自己判断や知人からの伝聞をもとに色々なものを飲んだがために、酷いことになっている例がたくさんあります。だから、「医師に相談する」というのが第一です。
一方で、医師の側にも私から伝えたいのが「症状とワクチンの関連を真っ先に考えてほしい」ということです。「今後はワクチンによって色々なことが起きるだろうから、循環器系に限らず、自己免疫、神経、がん、感染症などあらゆる疾患についてワクチンとの関連を考えなくてはいけない」と、2021年の時点に私は論文で指摘しています。
ワクチン接種後に健康問題を感じたら
——4つ目の質問は、目の疾患や頭痛についてです。「ワクチン3回接種後、頭痛が途切れなくなり、1日に3回、鎮痛剤を飲むようになりました。今までこんなことはなかったのでワクチンを接種した病院に問い合わせたのですが、取り合ってもらえません」と58歳の男性からいただいてます。また「5回目接種から半月後に右目が見えなくなり、網膜静脈閉塞症と診断され、いまだ視力回復に到っていません」という方もいらっしゃいました。
目の疾患や頭痛は、ただちに命に関わるわけではないのですが、健康被害として数多くの質問をいただきました。このような方々にアドバイスはなにかありませんか?
福島 「これはワクチンのせいじゃないか」と思ったら、医師の診断のもと予防接種健康被害救済制度の自治体窓口に申請を出してください。
ワクチンの可能性を否定してはいけません。勝手な判断はダメです。もしも、ワクチン後遺症の可能性に医師が向き合ってくれない場合は「全国有志医師の会」に連絡すれば、お住まいの地域で向き合ってくれる医師を教えてもらえます。
申請を出すには、ワクチン接種証明書や診断書など様々な証拠が必要になりますが、こうしたことは自治体窓口がちゃんと教えてくれます。
ちなみに、目の疾患や頭痛はワクチンとの関連についてたびたび報告されてきました。そのほかの症例も多数報告されていますが、これらは「ワクチン問題研究会」のホームページに掲載している論文で一覧できます。
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本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
文藝春秋 電子版で読める福島雅典氏「コロナワクチン後遺症」
・第1弾「コロナワクチン後遺症の真実」
・ウェビナー動画「コロナワクチン後遺症 読者の疑問に答える」
・ウェビナーテキスト「頭痛、高血圧、視覚異常、糖尿病、パーキンソン病、ALS……コロナワクチン後遺症 読者の疑問に答える」